【コラム】今度の新興市場資産売りは伝染しそうだ-アシュワース

新興市場の苦境は新たな局面に入った。明らかに各国固有の危機だったものが、世界中に広がりつつある。

  アルゼンチンは30日、ペソの下落に歯止めをかけるため、政策金利をべらぼうに高い60%にまで引き上げたが、ペソは下げ止まらなかった。それにしても、トルコも問題は多いとはいえ、リラが同日に4%下げる理由があったとは思われない。

  南アフリカ共和国の通貨ランドとブラジル・レアルも約3%下落したが、これも特段の理由が見当たらないようだ。

  これでは伝染としか思えない。一つの新興国の問題が他の新興国の問題になる。この連鎖を断ち切る方法が見えない。  

This Looks Like Contagion

Argentina's currency crash drove losses in other emerging market hotspots

Source: Bloomberg

 
  しかも、このところの急落はドル高に起因していたようには見えない。ドルは貿易加重ベースで下落していたからだ。

It's Not the Dollar's Fault

This week's selloff in some emerging market currencies wasn't driven by a stronger greenback

Source: Bloomberg

  問題の核は、世界の金融安全ネットが外されようとしていることだ。投資家は米金融当局が向こう1年間に4回の追加利上げをするとの見通しを強めている。これに加え、当局は量的引き締めへと着実に動いている。明らかに、流動性がシステムから引き揚げられつつある。

  欧州中央銀行(ECB)と日本銀行はまだ流動性を注入し続けているが、そのペースは鈍っているし、ECBは年末で終了する予定だ。

Quantitative Tightening

The Fed will cut its QE holdings by $50 billion monthly from 4Q

Source: Federal Reserve

  国際通貨基金(IMF)も頼りにはならない。IMFによる500億ドル(5兆5500億円)規模の救済計画はアルゼンチン・ペソの下落を止めるには全く不十分であることが分かった。もちろん、IMFがいなければどこまで安くなったかと思うとぞっとするが。

  8月は市場の流動性が薄いし、リスクオフに転じた市場で相場変動が激しくなるのは想定内だ。しかし今回は、皆が夏休みから戻ってきたら取引が正常に回帰するのか分からない。売り込まれる新興市場国はそれぞれに深刻な問題を抱え、明白な解決方法もなく、救世主もいない。

(このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)
原題:This Emerging Market Selloff Looks Contagious: Marcus Ashworth(抜粋)

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