Photographer: Akio Kon/Bloomberg

ドル・円が1週間ぶり安値、米中貿易戦争への懸念でリスク回避圧力

更新日時
  • 一時110円89銭まで下落した後は111円ちょうど前後でもみ合う
  • ユーロは反発、ECBのノボトニー氏の利上げ発言に反応
Photographer: Akio Kon/Bloomberg

東京外国為替市場ではドル・円相場が約1週間ぶりの安値を付けた。米中貿易戦争の激化懸念や新興国通貨の下落を背景に投資家のリスクセンチメントが再び悪化し、リスク回避に伴う円買いが先行した。

  ドル・円は31日午後3時13分現在、前日比ほぼ変わらずの1ドル=110円97銭。米株安や米長期金利の低下を受けて、ドル安・円高が進んだ前日の海外市場の流れを引き継ぎ、午前9時ごろに110円89銭と23日以来の水準まで下落。その後は111円ちょうど前後でもみ合った。

  IG証券の石川順一シニアFXストラテジストは、トランプ政権の対中関税第3弾が来週にも本格的に動き出す可能性が高まっているため、世界の株価は上値の重い展開が想定され、「そうなってくると円高圧力が強まりやすい」と指摘。リスク局面では新興国通貨売りなどの受け皿としてドルも選好されやすいが、「現状をみるとやはり円買いの方が強く、ドル・円の上値は重い」と語った。

  クロス円(ドル以外の通貨の対円相場)も円買いが先行。オーストラリア・ドルは対円で一時1豪ドル=80円37銭と2週間ぶりの安値を付けた。

  東海東京証券金融市場部外貨管理グループの吉田幹彦グループリーダーは、「地合いが悪い中で、クロス円や新興国通貨に対しての円買いはワークしやすいが、ドル・円は111円割れが堅く動きづらい」と指摘。「基本的に材料は蒸し返しが多く、積極的に売る新しい材料が出てきているわけではない。今日に関しては米国が三連休ということ、新たな材料待ちということもあり、ドル・円は111円前後の水準であまり動かなくなりそう」と話した。

  トランプ大統領は30日のブルームバーグのインタビューで、米中貿易摩擦で中国が米国よりも長く生き延びることはないだろうと述べた。また、中国が最近の経済成長の鈍化に対応して自国通貨を切り下げてきたと主張し、政権が各国の為替操作の有無をどう決定するか検討していると述べた。

  前日の海外市場では、トランプ大統領が来週にも中国からの輸入品2000億ドル相当への関税を発動する意向との報道アルゼンチンペソの急落などを受け、リスク回避の動きが再燃。株安・債券高となり、外為市場では円高とドル高が進んだ。31日のアジア株もおおむね下落。ただ、日本株は徐々に下げ渋り、日経平均株価は小幅安で引けた。

  静岡銀行NY支店マーケット担当の吉田真康氏は、来週は「米ISM指数など先行指標が今後の米利上げ回数を占う上で比較的重要」としながらも、「経済指標をもってそこまで大きく相場が動くとは思っていない」と指摘。トランプ政権の対中追加関税などの「ヘッドラインリスクの方が大きく動くだろう」と話した。

  一方、ユーロは反発。欧州中央銀行(ECB)の政策委員会メンバー、ノボトニー・オーストリア中銀総裁が、イタリア経済の弱さを理由に金融緩和の解除や利上げ開始を遅らせるべきではないとの考えを示したことに反応した。ユーロ・円相場は午前に1ユーロ=129円33銭と4営業日ぶりのユーロ安・円高水準を付けていたが、午後には一時129円84銭まで上昇した。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE