世界のプライベートバンク、中国富裕層を取り巻く壁を打ち破り始める

  • 超富裕層が世界で2番目に多い中国に海外金融機関が注目
  • 外銀のウェルス事業でのハンディは縮小しつつある-マッキンゼー

中国におけるプライベートバンキング(PB)ビジネスの膨大な商機を数字で表すことは難しいが、ここにいくつかの数字がある。29兆ドル(約3240兆円)は家計資産で、15兆ドルは資産運用業界の運用資産。そして今恐らく最も重要な数字は、中国国内のマネーマネジャーが元本保証投資商品にパッケージした1兆ドル強だろう。これは政府の取り締まりの焦点となっている。

  こうした政府の介入は、だれもほとんど征服できていない中国本土市場について、世界の大手銀行が見直す理由となっている。中国本土市場は超富裕層のプールが世界で2番目に大きいことから、長年にわたりチャンスは容易に獲得できると受け止められてきたが、面倒な規制や国内金融機関とのし烈な競争が伴う。それでもクレディ・スイス・グループの北アジア担当PB責任者、フランソワ・モネ氏は遅れるよりは早く参入する方が良いとみる。

  モネ氏は「本土市場への参入は外銀にとって今後5ー10年に不可欠となる。市場が開かれたときに始動する必要がある。それはもうすぐだ」と話した。

  クレディ・スイスは裕福な中国人起業家を本土市場の顧客基盤の標的とし、その後、国内の銀行や保険会社と提携する事業計画に取り組んでいる。同行に先立ち、UBSグループは過去2年間に中国のウェルスマネジメント部門の人員を倍増し、なお採用を続けている。PB業界大手は現在、香港やシンガポールから中国人マネーを運用管理している。

  世界の富豪500人を番付けしたブルームバーグ・ビリオネア指数によれば、中国の超富裕層の資産合計は昨年、65%(1770億ドル)という驚きの伸びを記録した。こうした資金はシドニーやバンクーバーのマンション市場やロンドンの美術品オークションなど世界中で存在感を示している。しかし、資本規制で大部分は本土市場に制限されていることから、その資金を獲得しようと資産運用業者が相次いで参入している。

  ボストン・コンサルティング・グループと中国の興業銀行が昨年12月にまとめた報告書によると、中国の富裕層は40代から60代のビジネスオーナーであるケースが多く、複数の金融機関を投資の「スーパーマーケット」として利用。最も人気の商品はウェルスマネジメント商品で、通常は一定のリターンと満期日を提示し、資金調達者からの明白あるいは暗黙の保証が付く。

  ただ、「中国のウェルスマネジメント商品を、外銀はリスクやコンプライアンスの懸念からほとんど承認できない」とマッキンゼーのグレーダーチャイナ担当マネジングパートナー、ジョー・ンガイ氏は指摘。「外銀にとって最大の問題は価値の提案(バリュー・プロポジション)をしない点だ。取り扱えない商品が多い」と話す。

  そこで規制当局の登場だ。利回りや元本を保証するウェルスマネジメント商品の販売を禁止する方針を昨年遅くに示して以来、そうした商品の猛烈な伸びは後退。当局は中国市場を外国の大手金融機関に開放し、証券やファンド運用、先物、保険の合弁事業について外資系企業による過半数株保有を認めると4月に表明した。マッキンゼーのンガイ氏は、「外銀のウェルス事業でのハンディキャップは縮小しつつある。市場が合理的になり始め、中国のウェルスマネジメント事業のルールが国際市場に近づき、人民元がより多くの商品で自由化されれば、外銀はそのシナリオの下で競争力を高めるだろう」と語った。

原題:Private Banks Are Starting to Breach Wall Around China’s Wealthy (抜粋)

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