債券市場活性化は程遠く、日銀から肩透かしとの声-政策修正後1カ月

  • 長期金利は0.145%ピークに低下、値幅拡大や取引増加につながらず
  • 日銀の意図と市場の解釈に認識のギャップがあった-三菱Uモルガン
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

日本銀行がゼロ%程度を操作目標とする長期金利の許容変動幅の拡大を決めてから約1カ月。債券市場では金利水準が以前に比べ切り上がったものの、値幅拡大や取引増加にはつながらず、黒田東彦総裁が掲げた市場機能の改善には程遠い状況だ。

  黒田総裁が7月31日の政策修正の際に示した長期金利の許容変動幅は、従来のプラスマイナス0.1%の倍程度。これを受けて当初は債券売りが進み、長期金利は31日の0.06%から今月2日には1年半ぶりの水準となる0.145%まで上昇した。しかし、日銀が同日に予定外の長期ゾーンの国債買い入れを実施して金利上昇を抑制したことで低下に転じ、足元では0.1%付近でこう着状態となっている。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美シニアマーケットエコノミストは、今回の政策修正に関して「日銀の意図と市場の解釈に認識のギャップがあった」と指摘。「すぐに10年債利回りで0.2%まで容認だと思った市場は肩透かしを食らった形となり、日銀の真意を測りかねて売買の手が止まって元の姿に戻ってしまった」と語る。

  10年債の変動幅が0.5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)を超えた日は過去4週間で2日のみ。取引も低迷し、業者間取引を仲介する日本相互証券では、先週の新発10年物国債の1日平均売買高は688億円と8月第1週(7月30日~8月3日)の約4分の1にとどまった。今週はさらに細り、10分の1程度に激減。 29日には日銀の政策修正後初めて、新発10年物の取引が不成立となった。

  野村証券の中島武信シニア金利ストラテジストは、「日銀は今後一段と国債市場の機能低下対策を行う必要が出てくるかもしれない」と指摘。「31日夕方発表の国債買い入れ計画を変更する可能性もある。変更の選択肢は買い入れレンジの引き下げか、買い入れ回数減があり得るだろう」とみる。

  黒田総裁は先月末の記者会見で、長期金利が「非常に狭い範囲で動いているため、時々国債の取引が成立しないなど国債市場の機能がやや低下している」と指摘。その上で、許容変動幅の拡大に関しては、「少し変動幅を大きくすることで市場の取引も機能も改善する」と説明していた。

  メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジストは、日本経済の実力からすれば自然体の金利水準はもっと高いので、変動幅拡大の容認を受け、政策微修正前より高い水準にあると説明する。「それでも低金利であることには変わりがないので、値動きが縮小すれば取引は低迷する」とし、日銀は今後も金利が下がったらオペを減額する方針だろうと話す。

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