累積する副作用が顕現化すれば「手遅れとなるリスク」:鈴木日銀委員

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  • 地域金融機関も含めた金融機関の経営状況の推移を注視すること重要
  • 上下0.2%の変動幅は主要国の10年金利動向からみても「許容範囲」
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

日本銀行の鈴木人司審議委員は、累積していく金融緩和政策の副作用が将来、顕現化すれば「うまく対処することが難しくなることや、手遅れとなるリスクがある」との見方を示した。那覇市内で29日に講演した。

  講演後に行った会見では、副作用は「時間の経過とともに高まっていく」と指摘。その予防策について「例えば金利を上げるということだ」と語った。先月31日の金融政策決定会合でゼロ%程度を目標とする長期金利の上下変動を容認した決定については「金利水準を上げていく施策ではないので、金融機関の収益や金融仲介機能に直接的にプラス効果はない」と述べた。

  同じく上下の変動幅を持たせた指数連動型上場投資信託(ETF)の買い入れ額については、株価の変動、企業収益、配当の動向など、さまざまな指標を踏まえて「総合的に判断する」と指摘。「株式市場が混乱する場合は従来申し上げているより大きな金額になる可能性もあるし、少ない金額になる可能性もある」と語った。

  日銀は先月31日の会合で「当分の間、現在の極めて低い長短金利の水準を維持することを想定している」というフォワードガイダンス(政策金利の指針)を導入。現行の緩和政策の持続性を強化するため、長期金利やETFの買い入れ額が上下に変動しうることも決定した。市場では、今回の政策修正が緩和の強化なのか正常化への一歩なのか、見方が分かれている。

  鈴木委員は講演で、金融政策は「金融機関のために行うものではない」としながらも、その効果を経済に波及させていく役割を担う地域金融機関も含めた金融機関の経営状況の推移や金融システム、金融仲介機能などへの影響を「引き続き注視していくことが重要」と語った。

  金利変動幅が拡大し、10年物国債金利が多少上昇しても、「金融機関の貸し出しや社債市場へ与える影響は限定的と考えられる」と指摘。今回の措置は「金利水準の引き上げを意図しているわけではない」とし、「金利が急速に上昇する場合には迅速かつ適切に国債買い入れを実施していく方針だ」とも述べた。

  日銀がゼロ%をはさんでプラスマイナス0.1%の倍程度の変動幅を念頭に置いていることについては、「足元の主要国の10年物国債金利の動向からみても許容範囲」との見方を示した。

  一方で、菅義偉官房長官が21日の講演で、携帯電話料金は今より4割程度下げる余地があると発言したことを受け、仮に4割引き下げられれば「その分、ほかの消費が増えるのでプラス効果があるが、コアの消費者物価(除く生鮮食品)にはかなりマイナス要因になる」と懸念を表明した。

(2、3、8段落に会見の発言を追加します.)
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