【コラム】今年の米利上げ、4回が確定的とは言えない-エラリアン

カンザスシティー連銀が先週、年次シンポジウムを開催したジャクソンホールでの米金融当局者の一連の発言は、9月と12月の年内もう2回利上げがあるとの市場コンセンサスを追認する内容だった。

  だが、当局者が発するシグナルとして最も重要なパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演内容から判断すると、金利の道筋は確定的と言うには程遠いかもしれない。

  パウエル議長は「海外のリスク要因」に言及しつつも、米景気の力強い拡大を強調する方を選んだ。しかし、海外の不確実性は多面的だ。欧州と中国では不透明感が高まり、トルコの危機は先が見えない。先週の新興国通貨の下落再燃は、為替のミスマッチや差し迫った資金調達の必要性が大きい国々を危険にさらすことになる。

  そして、パウエル議長が講演で取り上げた米経済を巡る数多くの疑問が挙げられる。議長が「リスク管理」と呼んだ戦略の必要性を裏付ける構造的な不確実性には、賃金や生産性の動向、技術革新、国際貿易体制、変化する人口動態の影響、財政刺激策など比較的多くの問題が絡んでいる。

  パウエル議長は「政策策定における不確実性の管理という話題が引き続き特に際だっている」と述べたが、それは議長が「天空の星々にとても似ている」と語った諸指標、すなわち自然利子率と自然失業率、インフレ目標の組み合わせの異例の不安定さに反映されている。「リアルタイムでの検出・測定が困難な形で経済が変化しているため」、引き締め不足と引き締め過ぎの2つの過ちを当局として回避するのは「難しい課題」だという。

  もう1つ指摘すべきなのはパウエル議長が「不安定化をもたらす行き過ぎ」として、今回の講演ではさらっと言及した不確実性だ。これには過度のリスクテークや金融市場の行き過ぎた上昇など、対処せずにおけば経済見通しにリスクを突き付けるものが含まれる。言い換えれば、最大限の雇用と物価安定の実現という、米金融当局の2つの責務を全うする金利政策やバランスシート政策であっても、必ずしも金融の安定性と合致しない恐れがあるというものだ。

  以上のような情勢を考慮すると、9月以後の金融政策の展望を巡って不確実性が高まっていく可能性が浮き彫りとなる。地区連銀総裁の何人かがジャクソンホールでどんなに自信があるように見えても、来年はもちろん、今年12月に米金融当局が最終的にどのように行動するかについて、当然影響を及ぼすような内外の疑問点は山積しつつある。

  私個人は米金融当局が9月に利上げ後、12月に利上げがなかったとしても、それほど驚かないだろう。別のシナリオでは、9月と12月に利上げしても、来年3月には長期の休止に入る可能性が考えられる。

(このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)

原題:Four Fed Rate Hikes Isn’t Set in Stone: Mohamed A. El-Erian(抜粋)

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