Photographer: Nelson Ching/

3兆円の巨額通貨スワップ再開へ、関係改善の象徴に-日中財務対話

  • 中国は周辺国と協調関係築き、米国との関係を有利にしたいとの見方
  • 市場競争阻害する中国の国家資本主義に是正求めよ-日本総研の関氏
Photographer: Nelson Ching/

日中両政府は31日、北京で日中財務対話を開催する。日本円と人民元の通貨スワップ協定の再開に向けた協議を進め、関係改善の象徴と位置付ける。米中貿易摩擦の過熱を背景に、周辺国との距離を急速に縮める中国。一方で、日本は中国に次ぐ貿易相手国の米国を横目に難しい立ち回りが求められている。

  日中通貨スワップについては、5月の首脳会談で協定締結のための作業を早期に完了させることで合意していた。有事に用いられる同スワップはアジア通貨危機後の2002年に開始後、尖閣諸島をめぐる両国関係の悪化を受け、13年に失効した。

  政府関係者によると、当時30億ドル(3300億円)だったスワップの交換上限は10倍の規模の3兆円に拡大する。年内開催を予定している日中首脳会談で最終決定される見通しだ。同スワップの規模は共同通信が21日、先んじて報じた。

  7回目となる同対話には麻生太郎財務相と劉昆財政相が出席する。財務当局・中央銀行幹部に加え、今回から金融当局幹部も参加。同スワップのほか、両国の経済・金融情勢などについて意見交換を行う。

  みずほ総研の大和香織主任エコノミストは、米中貿易摩擦の影響を最大限抑制するため、「中国は周辺国との関係を強化することによって孤立しないようにし、米国との関係も有利に進めたい」との思惑があると分析する。両国の利害が一致して貿易面の協力関係を模索する可能性はあるものの、具体的な成果は「正直、難しい」との見方を示した。

  中国は金融リスクの軽減に向けて17年初から金融政策を引き締めに転じたが、米国との貿易摩擦などを背景とした景気減速に対応するため、再び緩和に転じた。日本総研の中国経済展望(8月)によると、米トランプ政権がハイテク製造業を対象とした制裁を講じるなか、製造業に生産抑制の動きが出始めているという。

  日本総研の関辰一副主任研究員は、通貨スワップの規模拡大について「中国はここ数年の金融緩和によって経済規模を上回るペースでマネーサプライが拡大しており流動性も多い。それだけ金融リスクが発生した時に必要となる資金量が以前に比べて大きくなっている」と指摘している。

  先週ワシントンで開かれた米中次官級通商協議では、摩擦解消に向けた明確な進展は見られず、中国からの年間2000億ドル(約22兆3000億円)相当の輸入品への追加関税と中国の報復措置が現実味を増している。

  日米間では、米国による鉄鋼・アルミニウムへの追加関税の導入に加え、最大25%の自動車の追加関税が緊張感を高めている。一方、中国の国有企業に対する補助金などの優遇措置をめぐり、日米と欧州連合(EU)とともに是正措置の検討に入るなど、世界3極で対中国の包囲網を作る動きもある。
 
  日本総研の関氏は、中国の国有企業向けの補助金や低利融資は市場における平等な競争を阻害しており、「アンフェアな競争に苦しんでいる企業も多い」と指摘。米国も中国政府による市場介入の是正を求めている中、日本政府は「さらなる対外投資規制の緩和や中国に耳に痛い話もいう必要がある」と語った。

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