【日本株週間展望】堅調、米景気良好と為替安定ー貿易問題警戒は続く

  • 米PCEは5カ月連続増加へ、消費者信頼感指数も高水準予想
  • 為替は1ドル=111円台に、PBR1.33倍は割安感強いと野村

8月5週(27-31日)の日本株は堅調に推移する見通し。良好な米国景気の現状や為替の安定を受け、企業業績の先行きを楽観視する買いが先行しそうだ。ただし、米国と中国の貿易摩擦問題は続き、根強い警戒感からレンジ相場の域を出ない。

  米国で28日に8月の消費者信頼感指数、30日に7月の個人消費支出(PCE)が発表される。市場予想は消費者信頼感指数が126.5(前月127.4)、個人消費支出が前月比0.4%増(同0.4%増)。PCEは5カ月連続の増加予想で、両統計で米消費の強さが示される見通しだ。中国で31日に公表予定の8月の製造業購買担当者指数(PMI)は、市場予想で51と前月の51.2からほぼ横ばいが見込まれている。

東証内株価ボード(イメージ)

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  為替の円安推移と投資指標からみた割安感も日本株の追い風だ。トルコリラ急落に起因する金融市場の動揺で、一時1ドル=110円割れまで円高が進んだドル・円は111円台までドルが反発。企業の想定レートは1ドル=107円前後が多く、業績期待を高める要因になり得る。また、野村証券の松浦寿雄チーフ・ストラテジストは、日本株の株価純資産倍率(PBR)はTOPIXで1.33倍(22日時点)と、12ヵ月先予想の株主資本利益率(ROE)9.7%から推計される1.6倍と比べ割安感が強い、とみている。

  一方、米中貿易問題への警戒は上値を抑制する見通し。米通商代表部(USTR)は2000億ドル相当の中国製品に対する関税提案について、27日まで公聴会を開き、パブリックコメント期間が終わる9月6日の後に実行される可能性がある。既に米国からの輸入品600億ドル相当に関税を賦課する対抗措置を表明済みの中国がさらに報復姿勢を強めれば、株式相場への悪影響は必至だ。米国とメキシコの北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉も協議延長となっている。第4週の日経平均株価は週間で1.5%高の2万2601円77銭と、4週ぶりに反発した。

<市場関係者の見方>
●大和総研経済調査部の小林俊介エコノミスト
  「9月まで重要なイベントが少なく、様子見姿勢が強い中、米長期金利の低下で株式相場は適温環境が続き、日本株は上昇しやすい。米国はことしあと2回の利上げは確実だが、中立金利に近づくことで来年以降の利上げ見通しが後退する可能性があり、米長期金利は2.8%割れもあり得る。米長期金利の低下を受けドルが売られ、世界の株安を招いた中国人民元や新興国通貨安が落ち着くほか、米景気の堅調もあり、株式には居心地の良い状況になりやすい。ただ、ドル・円では円高に振れやすく、米中貿易摩擦問題の継続もあり、相場を支えるのは内需セクターが中心になる」

●JPモルガン・アセット・マネジメントの前川将吾グローバル・マーケット・ストラテジスト
  「実効為替レートでみた円高が抑制される可能性が高く、業績面や割安感から上昇が期待できる。国内4-6月期決算の良好でリビジョンインデックスがプラス圏に浮上、米国株は最高値圏と良い材料がそろっている。さらに、新興国発の良いニュースが出てくることで実効為替レートが円安に向き、追い風になろう。米国とメキシコのNAFTA再交渉延長は、合意に向け努力を続けている証拠。中国の製造業PMIも予想は横ばいと、財政政策や金融刺激策からも大幅な悪化は想定されていない。米中貿易摩擦への警戒は続くが、米国とメキシコが歩み寄れば、米中も折り合うことができるとの期待は高まる」

●ニッセイアセットマネジメントの西崎純チーフ・ポートフォリオ・マネジャー
  「貿易戦争を懸念して下げた分をある程度取り戻しそうだ。株式市場は米中摩擦をある種の技術覇権争いと覚悟し、長期戦になるとの前提でその先を考えようと個別銘柄を見始めた。世界で何が起ころうとも、自ら利益を稼ぐ企業に投資資金が向かっているのはその表れ。業績が良好でも、貿易摩擦による今後のモメンタム鈍化や世界景気への懸念から株価は上げ切れなかったが、第2四半期を半分以上過ぎても失速する感じではなく、為替も1ドル=111円台と何も悪くなっていない。日本株はいったん目先の底を付けた。日経平均は2万3000円まで上昇する可能性もあろう」

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