ネスレ日本、高齢社会で健康事業を食品と2本柱に-高岡社長一問一答

  • 健康事業販売を10年後1000億円に、ウェルネスアンバサダー起爆剤
  • 健康事業で買収の可能性「大いにある」、業界の垣根なくして考える

「ネスカフェ」や「キットカット」で知られるネスレ日本が、健康事業の大幅な成長を図っている。高齢化という各国共通の課題に真っ先に取り組み、世界最大の食品メーカー、ネスレグループ(スイス)でのモデルケースを構築したい考えだ。同社の高岡浩三社長に、23日のインタビューで今後の見通しについて聞いた。

ネスレ:DNA検査やAIで健康をサポート

  高岡氏は、将来的には食品事業と健康事業の売り上げが半々程度になるまでに健康事業を育てたいと語る。10年後の目標として、健康事業で1000憶円の売り上げを目指す。その起爆剤と期待されるのが2017年10月から同社が世界に先駆けて導入した「ウェルネスアンバサダー」だ。

ネスレ日本・高岡社長

Photographer: Kentaro Takahashi/Bloomberg

  ウェルネスアンバサダーは栄養成分などが入った抹茶やミルクのカプセルの定期購入サービス。飲み物をつくるためのマシンが無料で貸与されるほか、スマートフォンを活用したDNAや血液検査、日々の食事分析などに基づき、個々人に合った栄養素の提案なども行っている。特徴的なのはDNA検査ではジェネシスヘルスケア、栄養素開発ではファンケルなど他社と提携を活発に進めている点だ。使用者は今夏に10万人を突破し、20年に25万人を目指す。

  ネスレグループの中で、日本はキットカットやネスカフェの販売金額が世界1位。高岡氏は日本発のキットカットを世界に広めた立役者でもある。新たな事業を巡る成長戦略をどう描いているのか。一問一答は以下の通り。

ーなぜ健康事業に注力するのか

縮小していく高齢化社会の日本は先進国の代表選手だ。国民全体の胃袋の数が減るためコーヒーとキットカットの需要も先細っていく。ただ、高齢化が加速するにあたり、健康寿命を延ばす役割が21世紀の食品企業にはある。そういう問題を解決していく先例を作れば、世界の先進国の代表的なモデルになることができる。健康寿命を延ばすことにどう自社の強みを持ちながら事業展開することができるかという発想から出てきた。

ーウェルネスアンバサダーの着想はどこから来たのか

私自身の体験が大きい。祖父も父も42歳で亡くなった。だから自分は健康で長生きしたいと思っていた。アンチエイジングのクリニックにも通ったが、非常に高価だ。誰でも、たやすく、おいしく、家庭にいながら取り組めるプログラムを作りたかった。ヒントになったのは、職場などにコーヒーマシンを無料で貸し出してコーヒーカプセルの購入を促すネスカフェアンバサダーのビジネスモデルだ。

ーウェルネスアンバサダーの主要顧客層は

40-50代の顧客が多い。男女比は同じくらいだ。健康に興味がわく時期で、しかもスマートフォンに精通している。ウェルネスアンバサダーは注文や食事分析でスマホを使う仕組みになっている。20代は自分の老後を考えない。70ー80代はスマホをあまり使わない。

ーウェルネスアンバサダーの海外展開の可能性は

スイス本社や中国、アジアの担当者が見学に来ている。中国のような高齢化していく国には日本と同じ課題がある。ただ、日本のウェルネスアンバサダーがそのまま海外で成功することは絶対にあり得ない。例えば日本では栄養素の味をうまく隠せるからコーヒーでもココアでもなく抹茶のカプセルを選んだが、海外で抹茶が受け入れられるかも分からない。顧客の問題はローカルで異なり、グローバルな顧客はいない。ネスレではイノベーションの7割がローカルから生まれてくると言われている。

ー健康事業巡る買収の可能性は?

買収やジョイントベンチャーなど方法はいろいろあるが、可能性は大いにある。人工知能(AI)やインターネットにより第3次、第4次産業革命がおこると、20世紀では競合しなかった業界同士が競合するようになる。業界の垣根は取っ払って考えないといけない。

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