トランプ氏の望み通り米利上げ路線見直しならドル資産の魅力は低下

  • ドルは下落し大統領には願ったりかなったり-金融当局の信認には傷
  • インフレ期待が高まり米政府と消費者の借り入れコスト押し上げ

トランプ米大統領はドル安を望む姿勢を明らかにしており、そのために米利上げには難色を示している。パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長率いる金融当局が利上げ路線を見直せば、願ったりかなったりだろう。しかしその場合同時に、安全な逃避先としての米資産の魅力が低下する恐れがある。

  金融当局が引き締めの動きでブレーキを踏むようなことがあれば、当局への信認に傷が付くだけでは済まないとストラテジストは警告する。ドル安を求めるトランプ氏の望みはかなうが、インフレ期待の高まりが米資産は安全性との認識を揺るがせ、最終的には米政府および消費者の借り入れコスト上昇につながるだろう。

  他方で少なくとも早い段階では、世界的に流動性と成長率を高めることにつながり、トランプ政権の政策に翻弄(ほんろう)されてきた新興市場もその恩恵を受ける可能性がある。

  米金融当局が実際にトランプ氏の圧力に屈するとの見方はほとんどないものの、利上げに対する大統領の「口撃」は執拗(しつよう)で、投資家はトレーディングの計算にその影響を織り込み始めている。

  ドイツ銀行のチーフ国際エコノミスト、トルステン・スロック氏は大統領の言動に関し、「この場合は連邦準備制度だが、中央銀行の行動と独立性を損なう行動に踏み出すのは、危険極まりない」と指摘。パウエル議長がトランプ大統領の不満に「耳を傾け始めるのだろうか、連邦準備制度は本当に独立しているのだろうかと、投資家が疑問を抱くようになる」と語った。

  インサイト・インベストメント・マネジメントの為替責任者、ポール・ランバート氏(ロンドン在勤)は「米金融当局が利上げ停止のシグナルを発し、その時に経済と市場が引き続き好調であれば、それは当然、リスク資産には非常にプラスで、ドルにはマイナスとなる」と指摘。また、投資家が「政策引き締め見通しを幾分弱め、イールドカーブ(利回り曲線)はスティープ化するだろう」と分析した。

  もちろん、トランプ大統領の「口撃」がパウエル議長を説得するどころか、むしろこれまでの方針通り利上げを続けるよう同議長の背中を押すことも考えられる。

  パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)の世界経済顧問を務めるヨアヒム・フェルズ氏は先月のリポートで、米金融当局はホワイトハウスからの苦情に屈したと受け止められるのを何としてでも避けようとして、政策を変更しない姿勢を今まで以上に強める公算が大きいと記した。

  

原題:If Trump Can Strong-Arm the Fed, U.S. Assets May Not Be So Great(抜粋)

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