美容ブロガーがビジネスを変えた-影響力で10億ドル事業

  • イラク人移民の子どもとして米国で育ったフーダ・カッタン氏
  • 美容ブログ利用して化粧品「フーダビューティー」販売拡大

フーダ・カッタン氏

ドバイ在住のメーキャップアーティスト、フーダ・カッタン氏を主人公にしたリアリティー番組シリーズ「フーダ・ボス」。その最初のエピソードで彼女は、自身のブランド「フーダビューティー」から来年3月に発売される化粧品コンシーラーのケースを開ける。ヴェルサーチで着飾り、自分のブランドのつけまつげを着けた彼女がコンシーラーを使おうとすると、顔の色が変わり始め「オレンジ色」になったと恐怖におののく。そして電話の向こうにいる夫に言うのだ。「ウンパルンパみたいになった」。ウンパルンパは映画化もされたロアルド・ダールの児童小説「チョコレート工場の秘密」に登場するキャラクターだ。

  フェイスブックの動画サービス「ウオッチ」で配信されたこの番組は900万人もの視聴者を集めたが、34歳のカッタン氏にとっては、5年前に最初の自分の製品を投入して以降多岐にわたるビジネス上での節目の1つにすぎない。米誌フォーブスがまとめた米国の女性創業者富豪リストによれば、カッタン氏は37位。資産は5億ドル(約550億円)を超え、インスタグラムのフォロワー数は2600万人、ユーチューブでは240万人のファンがついている。

フーダビューティーのアイシャドーパレット

フォトグラファー:Janelle Jones、Bloomberg Businessweek

  トラストファンドやフリングなどの各種カラーをそろえたアイシャドーパレットを販売するフーダビューティーの事業について、フォーブスは10億ドルの価値があると推計する。昨年カッタン氏は自身のブランドの少数株式を投資会社TSGコンシューマー・パートナーズに売却した。これを受けて小売業のシンクタンクであるコアサイト・リサーチのデボラ・ワインスウィッグ最高経営責任者(CEO)は、カッタン氏を「プライベートエクイティー資金を引き付けた初のソーシャルメディア・ビューティー・インフルエンサー」と評した。

  イラク人移民の子どもとして米オクラホマ州の小さな町で育ったカッタン氏が化粧品を使い始めたのは9歳頃。「女の子として全然魅力的でないと感じていて、いつもメーキャップに興味があった」と言う。ミシガン大学ディアボーン校で経営学を修め2008年に卒業。そして家族が住むドバイに移った。その後、米国に戻りロサンゼルスのメーキャップ学校に通い、再びドバイに移り住み、10年に美容ブログを始めた。

  ヴォーグ誌のビューディーデイレクタ-だったサラ・ブラウン氏は「さまざまなレベルでのフーダのアピール力は信じられないほどだ」と語る。カッタン氏は「美しく、優秀なメーキャップアーティストであり、そしてリアルに自分のビジネスを運営している。本当に素晴らしく、物語性があり、ちょっぴり自虐的だ」と指摘する。

  

 

  自ら発信することで個性を高収入ビジネスに転換するというカッタン氏の能力には、驚くべきものがある。同氏がよく比較される米女優キム・カーダシアンの支援を得て「セフォラ・ドバイ・モール」でつけまつげのコレクションを13年に投入した時には1年分の予想を超える売り上げを1カ月で達成した。

  経営コンサルティング会社ATカーニーのリードパートナー、グレッグ・ポーテル氏は「ファンダメンタルなシフトだ。豊かさではなく影響力が商売にとって最重要の原動力になった」と話す。「特に美容の分野では『伝送路としてのインフルエンサーの成熟』がビジネスと伝統的なセールス評価基準の在り方についての企業の考え方を変えた」と分析している。

(原文は「ブルームバーグ・ビジネスウイーク」誌に掲載)

原題:How a Makeup Mogul Built a $1 Billion Business on Instagram(抜粋)

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