アートか遊園地か、体験型経済が生んだ「新しい小売りの形」

  • ハーバード・ビジネス・レビューの造語「エクスペリエンス経済」
  • そのコンセプトが最近根付く-NYでさまざななイベントが展開

ニューヨークの「ミュージアム・オブ・アイスクリーム」が人気だ。インスタレーションに参加するチケットはすぐに売り切れてしまうことも多く、デービッド・ベッカムやビヨンセらセレブに加え、幸運にも参加できた一般の人々も競ってインスタグラムに写真を投稿する。

  サンフランシスコのミュージアム・オブ・アイスクリームは「博物館」ではない。ポップアップ展で、どちらかと言うと年齢にかかわらず誰でも楽しめる遊び場だ。ニューヨークで7月12日に始まった「ロゼマンション」と8月22日からの「キャンディートピア」ではロゼワインやキャンディーを視覚的に「体験」できる。

ミュージアム・オブ・アイスクリームの「パイントショップ」のオープンを待つ人々(7月27日、ニューヨーク)

写真家:ブルームバーグ・ビジネスウィークのデイビッド・ウィリアムズ

  自撮り好きな人々を集めるこうしたインスタ映えのするイベントを何と呼べばいいのか。コンテンポラリーアート誌「イーブン」のエディター、ジェーソン・ファラゴ氏は文化的な価値があるのか、「頭を使わないインスタグラムに最適化された遊園地のアトラクション」なのかと問い掛ける。ミュージアム・オブ・アイスクリームの共同創設者マニシュ・ボラ氏によれば、そのどちらでもない。新しい小売りの形だ。

「パイントショップ」での自撮り

写真家:ブルームバーグ・ビジネスウィークのデイビッド・ウィリアムズ

  ハーバード・ビジネス・レビュー誌が1990年代後半に「エクスペリエンス経済」という造語で示したコンセプトが根付いたのほんの最近だ。マッキンゼー・アンド・カンパニーのシニアパートナー、ウォーレン・テイクナー氏は「新しい会社も古い会社もますますビジネスにヘビーな体験的要素を取り入れようとしている」と指摘する。投資マネジメント会社JLLの小売り調査ディレクター、ジェームズ・クック氏は「エンターテインメントが新しいアンカーになろうとしている」とし、長期的な可能性を見据える。

「ミュージアム・オブ・アイスクリーム」でのインスタレーション体験

写真家:ブルームバーグ・ビジネスウィークのデイビッド・ウィリアムズ

  ミュージアム・オブ・アイスクリームは2016年、マンハッタンのミートパッキング地区のポップアップ展として始まった。幾つかロケーションを合わせると来場者数は今年100万人を突破。チケットは最高38ドル(約4200円)で、チョコレートの「Dove」やアメリカン・エキスプレス(アメックス)などがスポンサーになっている。

  ロゼマンションには毎日500-750人が訪れると共同創設者のタイラー・バリエット氏は言う。10月まで続くこのイベントのチケットは45ドルで、平日午後の「ハッピーアワー」なら35ドルだそうだ。 

  ブルックリンで9月9日まで続く「ドリームマシン」は4月のオープンからチケット200万ドルを売り上げた。28ドルで昼のこのイベントに参加すれば、テクニカラーのネオンライトの中で巨大なスイミングプールの底にいるような感覚を味わえる。
  
原題:Museum of Ice Cream Predicts the Selfie-Soaked Future of Retail(抜粋)

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