Photographer: Ismail Ferdous/Bloomberg

トランプ政権の制裁措置、既に疲弊した新興国市場をさらに圧迫

  • 2018年にトルコ、ロシア、イランに新たな制裁発動
  • ベネズエラ、17年11月に債務再編の発表に追い込まれる

トランプ大統領の下、米国は敵対国だけでなく友好国にさえも、かつてなかったような制裁を発動している。ロシアとトルコに対する最近の行動は新興国市場に打撃を与え、株価は2016年1月以来最悪のパフォーマンスを記録する流れだ。
           
  米国が発動した制裁と今後の制裁見通し、各国市場の反応は以下の通り。
  

トルコ

  米国は今月1日、スパイ行為とテロ支援容疑でトルコで自宅軟禁となっている米国人牧師の軟禁解除で合意に至らなかったことを受け、トルコの2閣僚に制裁を科した。 北大西洋条約機構(NATO)の同盟国同士としては異例だ。象徴的な意味合いが大きいにしろ、この制裁は投資家をトルコ・リラから逃避させるのに十分だった。

  インフレ加速や膨大な経常赤字、予測不可能な金融政策を背景に、投資家は既にトルコから資金を引き揚げていた。リラは年初から38%下落し、パフォーマンスはアルゼンチン・ペソに次いで悪い。 
               

Sanctions Threat

Debt-to-GDP ratio in countries under U.S. sanctions in last four years

            

ロシア

  米国務省は今月、元スパイのセルゲイ・スクリパリ氏が神経剤で襲撃された事件でプーチン政権に新たな制裁を科すと発表した。22日に発動されるこの制裁では、国の安全保障に関わるとみられる米国製品やテクノロジーの対ロシア輸出を制限。90日後にはさらに厳しい措置が講じられる可能性がある。

  同時に米議会は、ロシアによる米選挙への介入に対抗するため、同国のソブリン債と大手銀行を標的とした制裁強化の法案作成を検討している。

  ロシア・ルーブルは今月約7%下落、このまま推移すると月間ベースでは16年11月以来最も悪いパフォーマンスになる。

             
イラン

  米国は5月8日、中国やロシア、NATO同盟国の反対を押し切ってイランの核合意から離脱し、対イラン制裁を一部再開した。イランの強硬派は制裁再開後に穏健派のロウハニ大統領に対する圧力を強める一方、首都テヘランの規制がかかっていない市場では通貨リアルが急落。一部食品の価格が50%上昇する中で抗議デモが発生し、中央銀行は資本規制に動いた。

  リアルは4月下旬から約80%下落し、1ドル=10万2200リアル付近で取引されている。
          

ベネズエラ

  米国は人権侵害や政治的抑圧、収賄を理由にベネズエラに対して制裁を科し、17年8月にはトランプ政権が同国政府と国営石油会社PDVSAが米国市場で新規発行した債券の取引および同国の公的機関が保有する既発債の一部のディーリングを禁じた

  これを受けてベネズエラ政府は同年11月、債務再編の発表に追い込まれた。同国の国際債(2027年償還)はその価値の半分余りを失い、同年12月には額面1ドル当たり21.785セントまで下落。現在は28セント付近で取引されている。今週末、ベネズエラ政府は史上最大規模、95%の通貨切り下げを実施するが、これは既に窮地に立たされている国民がさらなる痛みに耐え得るかどうかの試金石となる。

原題:U.S. Sanctions Bring Stress to Already Battered Emerging Markets(抜粋)

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