Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

日生、明安:日銀は超長期債の一段の購入減額を、政策修正は不十分

更新日時
  • 日銀政策修正後も30年金利約0.86%、新規貯蓄性商品の予定利率並み
  • コミットしていない超長期オペの一段の減額がありがたい-明治安田

運用難の大手生命保険会社は、投資の国債回帰には日本銀行が許容する長期金利(10年国債利回り)の変動幅拡大では不十分だとし、日銀が超長期ゾーンの国債買い入れを一段と減額することが必要とみている。収益回復に向け、超長期金利の上昇を促す策を望んでいる。

  生保の国債運用は、長期の保険契約に対応するALM(資産・負債の総合管理)の観点から20年や30年など超長期債が中心。日本生命保険財務企画部の栗栖利典担当課長は、今年に入り低下していた超長期債利回りが7月末の日銀の政策修正で上昇し「目線が1年前に戻ったイメージ」と一定の評価をするものの、日銀オペで「超長期国債の買い入れを一段と減らせば利回り曲線は立っていたのではないか」と話す。

記者会見に臨む黒田東彦総裁

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  超金融緩和策は生保各社にとって運用面だけではなく、予定利率の引き下げや貯蓄性商品の販売抑制など販売面にも影響が出ており、運用利回りと保険料等収入は低下傾向にある。こうした中、日銀は7月末の政策決定会合で、長期金利の許容変動幅を誘導目標ゼロ%の上下0.2%程度に拡大。これを受け超長期金利も上昇したが、20年0.63%程度、30年0.86%程度にとどまっている。日生の場合、新規の主な貯蓄性商品の予定利率は0.85%と30年金利とほぼ同水準で、利ざやが極めて薄い。

  明治安田生命保険の佐藤元彦執行役員運用企画部長も「10年債を変えるよりも先に、もっとやれることはある」と指摘。政策決定会合で決めている10年債の誘導目標を変更するのは難しいのに対し、「コミットしていない超長期のオペをもっと減額してくれるとありがたい」と話す。

  富国生命保険の渡部毅彦財務企画部長は、日銀の政策修正について「もう少し長期金利が上がるような方向の政策を期待していた部分があり若干期待外れ」と語る。同社では30年国債の金利が9、10月に1%を超えてくる状況になれば投資の選択肢には入ってくるが、決して十分ではなく、運用計画に明示的に織り込む水準ではないとしている。

  BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは22日の記者説明会で、7月の日銀の政策修正について「インフレ上昇が予想以上に遅れ緩和長期化を余儀なくされる一方、緩和の副作用も目立ってきた」として、「わずかな緩和的措置とわずかな引き締め措置を含む玉虫色のパッケージ」と称した。

超長期オペ

  2016年9月の長短金利操作導入以降、日銀は資金量中心から金利重視へと政策の軸足を移しつつあり、国債購入額を削減している。月5回行う超長期国債の買いオペ(10年超25年以下と25年超の2種類)は16年8月当時、両者合わせた1回あたり購入額が平均で3207億円だった。これに対し、22日の超長期オペ落札額は2425億円と今月これまでの3回とほぼ同水準だが、16年8月に比べて24%減少した。

  それでもなお生保の間では不満がくすぶっている。明治安田の佐藤氏は、「日銀自身が長期になればなるほど政策効果は低くなると言っている」と話す。日銀は16年9月の総括的検証で、ローンや社債など企業の資金調達年限は短期から中期ゾーンが多く、このゾーンの金利低下の方が長期から超長期ゾーンの金利低下よりも経済波及効果が大きいと指摘。超長期金利の上昇を抑える必要性は薄いことを示唆している。

  日生の栗栖氏は日銀オペが継続される限り、超長期債利回りは現状からプラスマイナス0.1%程度の動きにとどまると予想。今後も「外債投資をしながら、この環境を乗り切っていく」と話す。同社は18年度の運用計画で、1兆円程度を見込む新規資金のうち4000億円前後を為替リスクを回避しないオープン外債に振り向ける一方、国内債券は「横ばいから増加」にとどめる方針を打ち出していた。

(訂正前の記事は第6段落の日付を訂正済みです)

(第5段落でコメントを追加、第6段落で本日のオペ落札額に触れました.)
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