【コラム】米国株投資、今注意するべき4つのリスク-エラリアン

ラムズフェルド元国防長官の言葉を借りれば、世の中には「分からないということが分かっているノウン・アンノウン」というものがある。米国株にマネーを投じる投資家にとって4つの大きなノウン・アンノウンを、実現性の高さと影響の大きさの順にここに並べてみる。

1.深まる世界経済の不透明感:

  • 2008年の金融危機を抜け出した先進国経済は、同時性の高い回復が期待されながらも、実際には異例の低成長という「ニューノーマル」を長引かせた。この結果、米国が他の先進国を大きく引き離す成長の乖離(かいり)が起きた。他の先進国が米国の成長率に追いつくのか、それとも逆に米国が引きずりおろされるのか、今後の展開は米企業利益に極めて大きな違いをもたらす。債務が積み上がり金融政策の手段が限られている世界では、この問題はなおさら現実性が高い。問題解決の途中で、為替レートや金利差に相当な圧力がかかる恐れがある。

2.通商政策:

  • トランプ米政権は関税の発動や追加発動の示唆といった経済手段を、政治目的や地政学的目的で積極活用する傾向にある。報復の応酬では米国もある程度傷を負うが、最終的には勝利する定めだ。こうした状況を踏まえ、最初は好戦的だった欧州連合(EU)なども姿勢を軟化した。現行の貿易制度をおおむね維持しながら、米国にとって公正な方向に交渉で微調整できる確率は60%。世界経済が全面的な貿易戦争に突入する確率は25%。国際システムにとって極めて好ましい「レーガン的瞬間」を迎える確率は15%。全般的には比較的穏便な予想ではあるが、それでも大きなレフトテールのリスクは残る。つまり、政策を誤ればリセッション(景気後退)や金融不安、地政学的緊張の高まりを招きかねない。

3.中央銀行の政策正常化:

  • 3つ目の不安材料は、システム的に重要な中央銀行が長期にわたって実験してきた金融政策の巻き戻しだ。米連邦公開市場委員会(FOMC)はこの点で大きく先行しており、成長失速や資産価格の大幅なゆがみを招かない「美しい正常化」に成功していると言えよう。だからといって不安がつきまとわないわけではない。日本銀行と欧州中央銀行(ECB)、この2つの重要な中央銀行が同時に正常化に動いた場合、世界経済と市場がどう反応するかは未知数だ。過去の流動性投入では実体経済よりも資産市場の方が、ずっと大きな恩恵を享受してきた。一部では過剰なリスクテークが懸念されている。欧州諸国のすべてが十分に強い経済に支えられているわけではない。

4.トルコ

  • 危機管理の常識を覆すトルコの取り組みは、新興市場国の動揺をより予測不能にした。これまでのところ、トルコは金利政策の活用や国際通貨基金(IMF)支援を拒絶しているため、今のテクニカルな波及がいずれ、経済や金融を大きく揺れ動かす波にエスカレートするリスクがある。もちろん、この展開で一番ダメージを受けるのはトルコ自身だが、トルコの経済規模、貿易関係を考慮すれば西側欧州諸国は無傷で済まされない。一方で、米国は強い労働市場とビジネス環境が続く限りはおおむね影響がない。とはいえ、トルコが北大西洋条約機構(NATO)加盟国であり、軍事戦略的に重要な位置にあることなどから、地政学的に重要な問題は見逃せない。

(このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)
原題:The Biggest Risks for U.S. Equity Investors: Mohamed A. El-Erian(抜粋)

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