【起債評価】日銀政策修正で干上がる社債市場ー金利変動拡大を嫌気

  • 8月上旬の社債起債額は確認できる99年以降で最低の250億円
  • リコーリースは「フェアバリュー見つけにくい」と起債延期

7月末の日本銀行の政策修正を受けて、社債発行市場が干上がっている。長期金利の変動が激しくなり、企業が当面の起債を避けているためだ。

  ブルームバーグのデータによると、8月前半(1-15日)の社債起債額は前年同期比90%減の250億円。マイナス金利政策導入で落ち込んだ2016年の同期をさらに下回り、確認できる1999年以降で最低となった。お盆休みで起債が減少する時期とはいえ、落ち込みが目立つ。

8月前半の社債起債額推移

1999年以降で最低

ブルームバーグ

  日銀は7月末の決定会合で、長期金利の変動幅を誘導目標ゼロ%の上下0.2%まで拡大することを容認。10年物国債利回りは一時急速に上昇したが、その後日銀が予定外の買いオペを実施したことなどで低下に転じるなど、値動きの激しい展開となっている。これを受け、リコーリースは起債を延期。同社財務部資金課の大館大・資金課長は「ボラタイルな環境になり、社債のフェアバリューが見い出しにくい環境になっていることなどを考慮した」と述べた。

  野村証券の石田輝彦デット・キャピタル・マーケット部長は、起債急減の背景について「そもそも減少する時期である上、7月末の日銀決定会合後の金利変動で発行体だけでなく、投資家にも様子見する動きがあって一時的に影響した」と述べた。ただ、「来週からは起債も始まり、大型案件の有無で供給量は変化するが、件数ベースでは引き続き高水準の起債が続く」とみている。

  みずほ証券デットシンジケーション部の堀内隆弘・担当部長も、「日銀決定会合後の市場変化などを見極めるため、8月前半時期を事前に避ける発行体が多かった」と話した。

苦戦

  こうした中で、この期間中に4企業・投資法人が起債したが、ジャパンエクセレント投資法人10年債(利率は0.63%)は募残が発生した。

  森ビル10年債(同0.46%)については、主幹事は最終需要が約1.2倍だったとし、同社財務部の川村良彦課長は「主幹事の報告によるとわれわれが懸念していた以上に需要が集まったと感じた」と話した。これに対し、複数の引受関係者は、金利変動が激しく投資家が様子見姿勢を強める中で、大口投資家が購入を見送るなど販売に苦戦したとしている。

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