7月貿易収支は2カ月ぶり赤字、米への自動車輸出減少

更新日時
  • 貿易収支は2312億円の赤字、予想中央値は412億円の赤字
  • 世界景気減速を反映した「大きな意味での流れ」と野村・桑原氏

輸出から輸入を差し引いた日本の貿易収支は7月速報で2カ月ぶりの赤字となり、市場予想を下回った。原粗油と医薬品の輸入が増加した一方、輸出は自動車の減少などで予想を下回った。財務省が16日発表した。

キーポイント

  • 貿易収支は2312億円の赤字(ブルームバーグ調査の予想中央値は412億円の赤字)-前月は7208億円の黒字
  • 輸出は前年比3.9%増(予想は6.3%増)の6兆7474億円と20カ月連続の増加-前月は6.7%増
    • 輸出数量指数は0.8%増と5カ月連続の増加
    • 自動車輸出は2.8%減少
  • 輸入は14.6%増(予想は14.2%増)6兆9786億円と4カ月連続の増加-前月は2.6%増
    • 原粗油の輸入は40.3%増、医薬品は46.8%増

背景

  米国の保護主義的な政策に端を発した貿易摩擦の激化が、日本経済の先行きに影を落としている。米国が検討する最大25%の自動車への追加関税が懸念材料であるほか、米中間の対立の長期化は両国に輸出する日本企業にとってマイナスだ。

  茂木敏充経済再生担当相とライトハイザー米通商代表部(USTR)代表による日米通商交渉は、9月に第2回会合を行う。10日まで米ワシントンで行われた初会合では、2国間交渉で有利な条件を引き出したい米国と環太平洋連携協定(TPP)の枠組みで自由貿易を進めたい日本の思惑が平行線をたどり、自動車関税や農業分野などで結論は出なかった。

  日本銀行は7月の経済・物価情勢の展望で、輸出は「海外経済の着実な成長を背景に、基調として緩やかな増加を続ける」との見方を示した。2018年度中は「内外需要がバランスよく増加」し、「緩やかな景気拡大が続く」とみている。

エコノミストの見方

  • 野村証券の桑原真樹シニアエコノミストは電話取材で、輸出が予想を下回ったのは世界景気の減速を反映した「大きな意味での流れ」との見方を示し、「輸出の伸びは高くなりにくい」と分析した。米国の追加関税が課されたのは一部にとどまっており、対米輸出の減少は貿易摩擦の影響ではないとみている。
  • みずほ証券の末広徹シニアマーケットエコノミストは電話取材で、「直接的に貿易戦争の影響が出ているとは言えない」としつつ、「各国で設備投資が控えられたり、グローバルな景気の停滞が出ている可能性はある」と述べた。輸入の増加は原油価格や円安の影響が大きく、「国内需要がものすごくよくなっているわけではない」という。

詳細

  • EUからの輸入が29.1%増の8896億円と過去最大
    • 医薬品(79.9%増)、自動車(43.6%増)、航空機類(482.9%増)が寄与
  • 対米貿易収支は2カ月ぶり減少、輸出が2カ月連続減
    • 自動車(12.1%減)や自動車の部分品(15.2%減)、半導体等製造装置(50.1%減)の輸出が減少
(エコノミストコメントを差し替え詳細を追加しました.)
    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE