【起債評価】投資家のリスク拡大象徴、フィリピンに1500億円超の需要

  • 発行額は2001年のブラジル債以来の規模-3、5、10年のサムライ債
  • ムーディーズ、S&Pともに投資適格級で下から2番目の格付け

BBB格のフィリピンのサムライ債が1500億円超の需要を集めた。運用難に見舞われる投資家のリスク拡大を象徴しているとの見方が出ている。

  フィリピン債の発行条件は8日、3年が円スワップ上乗せ金利(スプレッド)25bpで利率0.38%、5年は35bpで0.54%、10年が60bpで0.99%に決まった。投資家の全注文を取り込んだ発行額は1542億円。政府が発行したサムライ債では2001年のブラジル債2000億円以来の規模になる。格付けはムーディーズがBaa2、S&PはBBBといずれも投資適格級で下から2番目。

フィリピンのドゥテルテ大統領(左)と日本の安倍晋三首相

Photographer: Toshifumi Kitamura/Pool via Bloomberg

  8年半ぶりのフィリピンのサムライ債に、低金利下での運用難に苦しむ投資マネーが集まった。新興国のカントリーリスクを嫌気する声は少なくないが、ドル債や国内債と比較した好条件を好感する投資家の大口購入が需要を押し上げた。今年度の8日時点でのサムライ債発行は1兆2117億円とすでに昨年度実績を上回った。同期間ではリーマン・ショック後の2009年度以降で最高。

  ある投資家はフィリピンのサムライ債について、起債実績が少なくても1000億円超を調達できる現状は、投資家の運用難とリスク拡大を象徴していると語った。別の中央投資家は、新興国銘柄は買える人と買えない人がはっきり分かれる銘柄だと前置きした上で、ドル建て既発債に比べて割安に見え、できるだけ短い方が買いやすいと指摘した。

  フィリピン財務省のロサリア・デレオン財務担当は今回のサムライ債について「投資家から圧倒的な需要を集めることができた」と電子メールで回答した。日本銀行は7月31日の金融政策決定会合で、異次元緩和がもたらした低金利や運用難に対応して長期金利の誘導目標をプラスマイナス0.2%と従来の2倍に拡大することを許容すると表明している。

【購入投資家層】

中央投資家地方投資家
3年債生保、損保、投信投資顧問、
系統上部、信託、都銀等
地銀、系統下部、
その他諸法人
5年債生保、投信投資顧問地銀、系統下部、
その他諸法人
10年債中央公的、生保系統下部、その他諸法人

【需要調査のレンジ推移(円スワップ対比スプレッド)】

3年債(1072億円)5年債(62億円)10年債(408億円)
7月30日
ー8月1日
サウンディングサウンディングサウンディング
8月2日25-35bp35ー50bp45ー60bp
8月3日25-30bp35ー50bp47ー60bp
8月6日25-30bp35bp55ー60bp
8月7日25bp35bp60bp

*社債発行予定一覧*
【起債動向】小田急20年で100億円、商船三井2本立て環境100億円

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE