GPIFはハイイールド債もっと購入を-元FRBエコノミスト野沢氏

  • ハイイールド債はデフォルトを含めてもリターンが高い
  • 日本での市場育成が長年の懸案-野村資本市場研究所

米連邦準備制度理事会(FRB)の元シニアエコノミスト、野沢良雄氏は、信用リスクや流動性の観点から購入が控えられがちな低格付けのハイイールド債は分散投資により長期的に高い収益が見込めるとし、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が積極的運用をすることを勧めている。

  野沢氏(39)によれば、企業が倒産した場合の資金回収の順位で株主よりも優先されるハイイールド債は、運用面では信用力の高い社債とリスクの高い株式の中間的な存在。7月下旬のインタビューでは、「株は買えるけどハイイールド債は買えないというのは理屈に合わない」と言い、株式の保有を増やしているGPIFは、ハイイールド債の購入にも積極的になるべきとの見解を示した。

  GPIFは2015年から外国のハイイールド債の投資を始めている。外国債のアクティブ運用の委託先のうち、ハイイールド債を運用指標とする野村アセットマネジメントとUBSアセット・マネジメントのファンドの時価総額は3月末時点で合計4146億円と、GPIFが保有する外債23.9兆円のわずかにとどまっている。国内のハイイールド債については4月から運用が可能になったばかりだ。

  FRBで7月末までの5年間、社債の適正な価格形成の分析に従事してきた野沢氏は、ハイイールド債投資について「ある程度の割合でデフォルト(債務不履行)は発生するけれども、それにも増してリターンがある。多くの銘柄に分散投資していれば、長い目でみた平均リターンは高い」と説明。

  一般的な投資家に比べ流動性などのリスクを取る余裕のある長期運用の年金基金にとっては、「デフォルトするしないだけでみるのではなく、また格付けで機械的にカットするのではなく、ある程度ハイイールドのものをポートフォリオに入れるというのも自然なことではないか」と話した。

  野村資本市場研究所によれば、日本の社債発行額は2016、17年と初めて2年連続で10兆円を超えた。ただ、A格以上がほとんどを占め、BBB格は2.7%程度。BB格以下のハイイールド債は皆無となっており、市場の育成が長年の懸念となっている。米国では、16年の社債の発行額が1兆5337億ドルで、うち投資適格債が1兆2938億ドル、ハイイールド債が2399億ドルだった。

  S&Pグローバル・レーティングは、GPIFが日本のハイイールド債を投資対象に加えたことは、同国内の社債市場の多様化に向けた第一歩になる可能性があると指摘。市場関係者が新たな動きを起こすきっかけになれば、ハイイールド債市場の育成や裾野拡大に向けた課題の打開へと向かうかもしれないとみている。

  野沢氏は、GPIFから社債スプレッドに関する研究が評価され、今後の社債のプライシング理論発展への寄与が期待できるとし7月に表彰された。今月からは香港科技大学の助教授を務めている。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE