黒田総裁が許しても長期金利は0.2%に届かない-モルガンMUFG

  • 債券市場は長期金利の上昇余地を試す動きで一時0.145%
  • 長期金利は新しいレンジの上限を試すーバークレイズ証

日本銀行の黒田東彦総裁

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

日本銀行の黒田東彦総裁が長期金利の変動幅の拡大を容認したのを受けて、大半の市場関係者の同金利の新たな上限が0.2%程度に意識が集まっているのとは対照的に、モルガン・スタンレーMUFG証券の杉崎弘一債券ストラテジストの見通しはその半分程度にとどまるとみている。

  新発10年物国債利回りは、日銀による長短金利操作が続いている以上、相場の乱高下が落ち着いて行くに連れ、従来の許容上限だった0.1%に近い水準に落ち着くだろう-。杉崎氏は、日銀の国債保有が残存期間5年超10年以下で突出していることを指摘した上で、「新発10年債利回りが0.2%に達するのは正当化できない」と述べた。

BOJ's Dominance

Five- to 10-year sector has highest BOJ ownership across all maturities

Sources: Bank of Japan, Bloomberg

Ownership is computed by dividing the BOJ's holdings by total bonds issued in the corresponding maturities

  日銀の残存5年超10年以下の国債保有額は発行額の6割強と、国債買い入れオペ計画で設定している対象別の残存期間のうち最も高い割合を占めている。新発10年物国債の利回りは日銀が2016年1月末にマイナス金利政策を導入することを決定して以降、一貫して0.2%を下回っている。当時の日銀による同残存期間の国債保有比率は4割程度しかなかったことを考慮すると、足元の相場では国債買い入れ残高を基に織り込まれる金利抑制要因が以前よりも増している。

  黒田総裁は金融政策の修正を決定した7月31日の記者会見で、長期金利の変動許容幅は上下とも従来のプラスマイナス0.1%程度の倍を想定していると言明。市場では翌日以降、長期金利の上昇余地を試す動きが一気に広がり、8月2日には新発10年物国債351回債の利回りが一時0.145%と約1年半ぶりの水準に達した。

  日銀は長期金利が急騰した同日午後に臨時の国債買い入れオペを実施。金融市場局は「このオペはこのところの長期金利の動き等を踏まえ、10年物国債金利の操作目標をゼロ%程度とする金融市場調節方針をしっかり実現するよう実施したもの」とコメントした。

  バークレイズ証の門田真一郎シニア為替・債券ストラテジストはリポートで、相場は10年債利回りが近いうちに新たな上限を試しに行くと予想。市場参加者は日銀がどの水準で指し値オペを打ってくるか探っていく可能性があると指摘していた。

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