【コラム】ダイモン氏の5%利回り予想、説明欠いた飛躍

JPモルガン・チェースCEOジェイミー・ダイモン氏

 Photographer: Giulia Marchi/Bloomberg

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JPモルガン・チェース最高経営責任者(CEO)ジェイミー・ダイモン氏は、「利回り道」といった題名の本を書けるかもしれない。

  世界で最も影響力のあるバンカーと言ってもよい同氏は4日、米10年物国債利回りが5%以上に上昇する状況に備えるべきだと述べた。発言は派手な見出しで報じられたが、予想が的中しないことが明白になっても面目を保てるよう十分な余地を残した点で、ダイモン氏は利回り道の師範級にあたる。

  ダイモン氏の今回の発言は、米10年債利回りが2007年以来の高水準に達する可能性があるというものだが、どのようにしてそのレベルに達するのか詳細な説明を欠いている。市場関係者から20年末までの予想をまとめたブルームバーグの調査でも、その水準まで利回りが上昇するとの回答は皆無だ。ダイモン氏は自身の予測の確率を示さず、「大方の人が考えているより高い確率」と述べただけだ。

  ダイモン氏はアスペン研究所の年次イベントで、同利回りについて「現時点で4%であるべきだと思う」と話した。利回り上昇は間違いなくJPモルガンの収益にはプラスとなる。

  同氏を含めたマーケットの専門家が、10年債利回りは4%に達する可能性があると5月時点で興奮気味に予測したことは許せるだろう。当時は14年以来となる3%台を付けたばかりだった。結局のところ、市場は切りの良い数字を好むのだ。同利回りは昨年9月が2%で、今年4月下旬に3%に上昇した。あと1ポイントの上昇だ。

  実際には、その道のりは遠かった。10年債利回りは米国の好景気や米財務省の借り入れ増にもかかわらず、先週またしても3%台を維持できずに2%台に低下した。ここから1ポイントの上昇は厳しく、2ポイントの上昇は言うまでもない。

  米金融当局者が予測する20年末のフェデラルファンド(FF)金利の中央値は3.375%。この1年間のFF金利と10年債利回りのスプレッドは最大1.45ポイントだった。両者を足し合わせても、なお5%には届かない。また、米当局が利上げを進める中でイールドカーブ(利回り曲線)は容赦なくフラット化している。

  米国債利回りが現行水準から、どのようにして急上昇し得るのか。ダイモン氏が利回りについてより深い洞察力を持っているのであれば、債券トレーダーは是非ともそれを聞きたいだろう。米10年債先物のネットショート(売り越し)ポジションを記録的な規模に膨らませている投機家は、大もうけのチャンスと待ち構えるはずだ。

  しかし、ただ単に利回りは上昇するはずだと言うのは、これまでにも何度となく聞かされてきた陳腐な主張にすぎない。

(このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、当社オーナーの意見を反映するものではありません)

原題:Jamie Dimon’s 5% Yield Is Longshot. Here’s Why: Brian Chappatta(抜粋)

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