【コラム】日銀よ、デフレ根絶でデジタル通貨を試せ

Bloomberg

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強力な金融緩和のおかげで、日本経済の命脈はつながっているが、ひどい副作用が伴っている。新たな解決策探しは、単純な質問から始めるべきだろう。日本銀行は紙幣を刷るのを完全にやめてみたらどうだろうか。

  日銀の供給でマネタリーベースは5年で3倍に増えたものの、待ち望まれる物価上昇率2%が達成される兆しはない。現金を根こそぎ廃止する時期ではないだろうか。

  2013年4月に就任後初の金融政策決定会合に臨んだ黒田東彦日銀総裁は、資産の購入を拡大。16年にはマイナス金利も導入した。だが、1年半たっても、物価上昇率は目標に程遠い。それだけではなく、マイナス金利の副作用は銀行の採算性悪化で明らかだ。理由は単純。日銀当座預金に置く余剰資金へのマイナス金利分を日本の銀行が預金者に転嫁させるのは簡単ではないからだ。人々には金利ゼロが保証される現金のまま、資産を持つという代替案があるためだ。

  日本は現金依存度の高い国だ。キャッシュレスの支払比率は20%にすぎない。円を現金で持ちたい日本人の嗜好(しこう)を強制的に変えない限り、日銀が今のマイナス金利政策を無期限に続けるのは、銀行への影響を考えると不可能かもしれない。日銀が先週の金融政策決定で加えた修正は、疲弊が定着しつつある状況を見せつけた。悲観論が根付けば、安倍政権の反デフレキャンペーンは終わりを迎える。

Too Many Banknotes

More than 20 percent of the Bank of Japan's monetary base comprises currency notes

Source: Bank of Japan

*Lenders' current account balances held with Bank of Japan but not counted in reserves.

  必要なことは、全ての現金を国が発行するデジタル通貨に置き換えることだ。そうすれば、日銀と財務省にとってカネをばらまく「ヘリコプターマネー」の実験がやりやすくなる。財務省が出す永久債に対し、日銀が新たな電子マネーを発行し、それを財務省が国民の銀行口座に条件付きで振り込む。その条件とは、毎月使われずに残された部分の価値が例えば、12分の1%ずつ減るという内容だ。

  これで、この通貨供給の部分は実質的にマイナス金利適用となり、消費が増えてインフレが喚起される。人々が取りあえず振り込まれた円をドルに替えて問題を回避しようとするなら、円が弱くなり、これもインフレ要因となる。そうなれば、日銀当座預金の金利はゼロに引き上げることができ、銀行は安心を得られる。日銀はヘリコプターマネーを主要な政策手段とし、国債や上場投資信託(ETF)、社債の購入を解消することで資産市場の機能を正常に戻せる。

  やってみる価値はあるのではないだろうか。(アンディ・ムカジー)

(このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)  

原題:How to End Japan’s Deflation? Abolish Cash: Andy Mukherjee(抜粋)

    This column does not necessarily reflect the opinion of the editorial board or Bloomberg LP and its owners.

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