米国より中国を重視、5年後には主流か-新薬承認で世界市場一変も

  • 新薬承認での中国での治験義務付け、17年10月に廃止
  • 中国で今後5年間に新たな医薬品を7つ発売する準備-武田薬CEO

中国が新薬の承認手続きを簡素化してから1年足らず。米国人より先に画期的な新薬を使うことができるとの期待がすでに中国人患者の間で広がっている。

  英アストラゼネカは新しい貧血治療薬を上海と北京の薬局に米国の各都市より1年ほど早く投入する。中国企業と結腸がんの薬を製造している米イーライリリーも同じ方針だ。 

Toward Universal Healthcare

Most Chinese are now enrolled in public medical insurance after rapid increase

Source: China Ministry of Human Resources and Social Security

  「今から20年後、中国は米国に匹敵、もしくは米国より大きな市場になるだろう」とポーラー・キャピタルのヘルスケア担当ファンドマネジャー、ダニエル・マホニー氏(ロンドン在勤)は言う。「新薬の認可をまず中国で取得するというのは今、普通でないように聞こえるだろうが、5年後には当たり前になるかもしれない」と話す。

  中国では何十年もわたりがんや糖尿病、腎臓疾患など深刻な病気に対する革新的な治療法を受けることが難しかったが、今や世界の製薬業界が最初に照準を定めるのが中国市場になりつつある。

Getting Old Fast

Population of Chinese aged 65 and older is growing faster than the U.S.

Source: National Bureau of Statistics of China & U.S. Census Bureau projections

* Normalized from December 31, 2008

  中国の習近平国家主席は国内の医薬品業界の改革を後押し。米国との貿易戦争をエスカレートさせるのを控えているとみられる習主席だが、中国政府はすでに5月、輸入医薬品28種類に課していた関税を廃止。知的財産保護があまりにも手ぬるいとの批判を和らげるため、特許保護期間を延長した。

  つい昨年まで中国での新薬承認プロセスは厄介で、多くの処方薬が本土で利用できなかった。中国当局によれば、2001-16年において先進国で認可された新薬433のうち中国で認められたのは3分の1以下だった。

  だが17年10月、中国は新薬承認を求める製薬会社に課していた治験を中国でも行う必要があるとの義務規定を廃止。政府が進める改革の一環であるこの決定が世界の医薬品市場を巡る状況を一変させつつある。米国に先行してではないにせよ、大手製薬会社は超大型新薬を人口14億人の巨大市場である中国に米国と同時に投入することができるようになった。

Low-Oxygen Look-Alike

Roxadustat uses a natural process in the body to fight anemia

  中国では粗悪ワクチンの接種を受けた子どもの親たちが先月、北京で抗議活動を展開したばかり。国産医薬品への国民の不信感は根強いが、中国当局は迅速な新薬承認に向けた本気度をアピールしている。米食品医薬品局(FDA)に相当する中国機関の職員数は14年には100人足らずだったが、今年末までに最大1000人に増やす計画だ。

  武田薬品工業のクリストフ・ウェバー最高経営責任者(CEO)は北京での7月のインタビューで、今後5年間に中国で新たな医薬品を他のどの地域よりも多い7つ発売する準備を進めていると言明。中国の医療保険制度でこれらの薬に対する払い戻しを受けられるよう取り組んでいることも明らかにした。

原題:To Get the Latest Drugs, Head to China(抜粋)

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