【日本株週間展望】軟調、日米新通商協議に警戒感ー好決算期待下支え

  • FFRが9-10日ワシントンで開催、米は自動車関税やFTA関心
  • 主要企業の4-6月経常利益、みずほ証分析で6.7%増と堅調推移

8月2週(6-10日)の日本株は軟調に推移しそうだ。米国と中国の貿易摩擦を巡る報復的な対応に加え、新たに始まる日米通商協議では自動車関税などへの警戒が強まる見通し。半面、国内企業の決算発表は後半戦に入り、為替の円安推移を映した好業績期待が相場全体を下支えする。

  市場参加者が注目するのは9、10日に米ワシントンで開かれる茂木敏充経済再生相と米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表による日米の新たな貿易協議(FFR)だ。茂木氏は3日、自由貿易の重要性を米国に訴えるとし、「一方的に譲り、国益を損ねる合意をする必要はない」と述べた。米国は自動車関税の検討に加え、2国間の自由貿易協定(FTA)に関心を示す。7日には米中間選挙予備選の後半戦もスタート、中国や欧州に強硬姿勢を貫いた流れもあり、日本にもアメリカ・ファーストの圧力をかけてくる可能性が高い。セゾン投信の瀬下哲雄運用部長は、「FFRは日本にとって不安要素しかない」と言う。

東証内ボードのウオッチャー

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  一方、国内主要企業の4-6月期(第1四半期)決算は良好で、株価指数の下支え要因になる。みずほ証券によると、1日時点で東証1部企業の48%が第1四半期決算を発表し、経常利益は前年同期比6.7%増と8四半期連続の増益。上期計画に対する進捗(しんちょく)率も53.5%と良いが、会社側の2018年度通期計画は2.5%増にとどまり、「依然慎重予想。原材料高などを値上げで転嫁できたかが業績を左右している」と菊地正俊チーフ株式ストラテジストは指摘する。

  第2週の決算発表予定は6日に太陽誘電ソフトバンクグループ、7日に東海カーボン、8日に資生堂、9日に電通ブリヂストン、10日に東京海上ホールディングスなど。経済指標は日本で9日に6月の機械受注と10日に4-6月期の国内総生産(GDP)、中国では8日に7月の貿易収支が公表される。このほか、7日はJPX日経400インデックスの年1回の銘柄入れ替え発表があり、証券各社の予想でリクルートホールディングス九州電力などの採用が有力だ。第1週の日経平均株価は週間で0.8%安の2万2525円18銭と4週ぶりに反落した。

<市場関係者の見方>
セゾン投信の瀬下哲雄運用部長
  「米中貿易摩擦問題が根強く残る中、FFRを控え、マーケットは強気になれない。FFRは日本の思惑通りにいかない可能性が高く、中国や欧州が何らかの妥協に応じてきたように、日本も無傷で終わることないだろう。市場は日本銀行の新しいメッセージを消化し切れていない、フォワードガイダンスで金融緩和策の限界論を打ち消し、長期化を示唆したことはプラスの半面、長期金利上昇の容認は一種の引き締め策で、為替が円高に振れるリスクが続く、株式から債券への資金移動も考えられ、マイナス要素が強い。4-6月期決算の好調は下値を支えるが、米中問題の先行き不透明感が続く中、業績の上方修正には慎重にならざるを得ない」

三井住友トラスト・アセットマネジメントの小田誠志リサーチ運用部長
  「米中貿易問題やFFRに対する不透明感が続く上、企業決算は想定通りで買い進むには力強さに欠ける。米中の関税問題が再燃し報復の応酬に警戒が必要、加えて中国は購買担当者指数が低下するなど景気が鈍化しており、関連する日本企業への影響を懸念。FFRでは米国が強硬姿勢で臨むと予想される、米国の対日貿易赤字の中で自動車が突出しており関税の標的になりやすい、仮に税率が20%となれば自動車産業は3割減益になるといわれ、自動車セクターは株式市場の時価総額の8%を占めるためマイナスインパクトは大きい。第1四半期決算は経常利益で7%増のインライン、業績トレンドがさらに上向かないと上値を追いにくい」

ニッセイアセットマネジメントの久保功株式ストラテジスト
  「日経平均は2万2500-2万3000円のレンジ内で動くと予想。日銀、FOMC、BOEと続いた金融政策は予想の範囲、7月末からグローバルの金融引き締め懸念が株式市場の最大の不安要素だった。日銀については、政策の正常化であってもペースは予想されていたほど速くない、小幅でゆっくりとの評価に次第になり、日本株の上値抑制要因が和らぐ。米中通商問題はすぐには解決しないが、争えば中国側のダメージが大きく、いったん小康状態となる可能性がある。自動車の関税引き上げは、米国消費者のプラスにはならない。日米交渉が本格的に日本経済に影響を与えることにはならないだろう」  

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