長期金利の変動幅拡大で社債発行にブレーキもー調達コスト増

  • 日銀決定受け長期金利急上昇、リコーリースは起債延期
  • ベース金利の国債利回り上昇で長期社債の増加鈍化もー大和証大橋氏

日本銀行が長期金利の変動幅に柔軟性を持たせる政策は、企業の起債コスト上昇を招く可能性がある。企業の中には社債発行を先送りする動きが一部に出ており、これまで増加してきた長期社債の発行が鈍化するとの見方が出ている。

  日銀は7月31日の金融政策決定会合で、長期金利(10年物国債利回り)目標について「経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうる」と決定。黒田東彦総裁は、その目安として誘導目標であるゼロ%の上下0.2%程度と、従来のレンジから倍に拡大する考えを表明した。

  これを受けて長期金利は2日後の8月2日、一時18カ月ぶりの高水準の0.145%まで上昇。リコーリースは3日、金融環境の変化を理由に、今月上旬に予定していた3、5年債の発行を延期した。大和証券の大橋俊安チーフクレジットアナリストは、社債のベース金利である国債利回り上昇は今年増加していた長期社債発行の増加を鈍化させることがあり得ると指摘する。

超長期の社債ブーム終焉か

日銀の長期金利の変動幅拡大で

出所: ブルームバーグ

注記:起債額は各年4月ー8月2日まで

  債券投資家の行動にも変化が出てくる可能性がある。日銀決定会合直前の7月中旬にはサントリー食品と三菱地所が0.1%以下で5年債を発行していたが、10年物国債利回りは現在、0.1%を大きく超え、今後は0.2%を試す可能性がある。マニュライフ・アセット・マネジメントの押田俊輔シニア・クレジット・アナリストは、「10年のJGBを買った方がよいのか、5年の社債を買った方がよいのか、というような状況が出てくるのでは」と語った。
 
  一方、朝日ライフアセットマネジメントの大芦尚広シニアファンドマネジャーは、一部投資家が「流動性の高い国債を選好することはありうる」としたが、自身は社債ベンチマーク対比でのリターン獲得を目指した投資を行っており、国債へのシフトは検討していないと語った。

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