Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

「日銀祭り」から明けた市場、銀行業界への受け止めはプラス方向

  • 日銀決定会合後に下落した銀行株は、臆測報道前より高値で取引
  • 政策変更の受け止めには濃淡、「何もないよりまし」との見方

日本銀行の政策修正を受けて、銀行への影響をめぐり交錯していた投資家やアナリストの受け止めはプラス方向に傾きつつある。

  銀行株は1日、前日の下げから反発して始まった。金融政策決定会合後は長期金利が急低下し売られて終わっていた三菱UFJフィナンシャル・グループは一時前日比3%高の709.8円と反発。三井住友フィナンシャルグループが同3.6%高、みずほフィナンシャルグループが同2.9%高まで上げた。日銀が超緩和策の副作用を検討すると報じられる前より高い水準での取引となっている。

  緩和継続の枠組みであるフォワードガイダンスを巡っては、JPモルガン証券の西原里江シニアアナリストがリポートで、イールドカーブ・コントロールにおける10年国債金利目標からの乖離(かいり)幅拡大は銀行セクターにポジティブな結果と指摘。金利上昇許容は市場機能の回復とともに、銀行システムの機能低下のスピードを若干和らげ、銀行収益にプラスとの見方を示した。

  野村證券の高宮健アナリストはリポートで、日銀の決定は「ベター・ザン・ナッシング(何もないよりまし)」として「どちらかといえばプラス方向にはたらく可能性がある」との見解を示している。マネックス証券の大槻奈那チーフアナリストは、短期金利が上がらない限り、銀行にとってはまったく利益に結び付かないとして「厳しい環境、苦しい状況が続くということ」とコメントした。

  全国銀行協会の藤原弘治会長(みずほ銀行頭取)は、決定は副作用への配慮が示されたものと受け止めているとしながらも、極めて低い金利水準の想定で厳しい状況が続くことを懸念するとのコメントを発表した。日銀の黒田東彦総裁は31日の会見で「早期の出口に向かうとの観測は完全に否定できる」と述べている。

マイナス金利適用残高

  日銀が、当座預金のうちマイナス金利適用残高を現在の約10兆円水準から半分程度に減らす方針を示したことについて、三井住友アセットマネジメントの市川雅浩シニアストラテジストは、「残高の大きい一部金融機関に配慮したものと思われる」と指摘した。業態別のマイナス金利適用残高は、都市銀行がゼロであるのに対し、地方銀行が590億円、信託銀行は約8兆4000億円となっている。

  日興アセットマネジメントのチーフ・グローバル・ストラテジスト、ジョン・ベイル氏は、一部の銀行収益にポジティブであり、業界全体にくすぶる懸念が幾つか解消されるとコメントした。

そんなにネガティブではない?

マイナス金利適用の銀行は多くない

  S&Pグローバル・レーティングの吉澤亮二シニアディレクターは、マイナス金利適用範囲の問題が「すごく銀行にプラスになるとは見ていない」とコメント。政策変更で市場の短期金利が大きく動いているとは認識しておらず、また、貸出利回りは市場金利よりも銀行間の競合関係で変わってくることから「銀行の収益に与える影響は限定的だ」と述べた。

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