パウエル議長、大統領の批判とは無関係に金利据え置きへ

  • 完全雇用に近づくもまだ達していないと判断、インフレ率低下も懸念
  • トランプ大統領の言動が影を落としつつも金融政策への影響なさそう

トランプ大統領とパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長

Photographer: Drew Angerer/Getty Images North America

米金融当局が8月1日まで2日間の日程で開く連邦公開市場委員会(FOMC)に、トランプ大統領の言動が政治的な長い影を落としているのは確かだろう。

  大統領は今月、金融当局による漸進的な利上げの方針に不満を表明した。連邦準備制度の独立性を尊重して、その政策に対する公の発言を控えるという、歴代の政権が20年余り守ってきた慣行を破った形だ。

  フェデラルファンド(FF)金利先物市場の動向を見ると、今週のFOMCでの利上げ予想はゼロで、ブルームバーグのエコノミスト調査でも57人中56人が金利据え置きを予想している。だが、当局が実際に金利据え置きを決めたとしても、トランプ大統領の不満と結び付けて考えるのは誤りだろう。

  TDセキュリティーズUSAのグローバル金利戦略責任者、プリヤ・ミスラ氏は、金融当局がデータにどのように反応するかについて「大統領からの最近の圧力は全く影響がない。当局は最終的に、経済にとって正しいことをする」との考えを示した。

  このところの経済統計から判断すると、3月と6月の利上げに続いて、追加利上げが緊急に必要とされる情勢にはない。さらに、今回のFOMC後にはパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の記者会見の予定はない。当局者は全会合がライブだと主張するが、投資家はそのようには見なしていない。

パウエルFRB議長

the Fed chairman

  一方で、パウエル議長の記者会見が予定されている9月25、26両日のFOMCを巡っては、今年3回目となる利上げの確率が80%余り織り込まれている。

  パウエル議長は今月17、18両日に行った議会証言で、米景気が過熱しているとの見方も差し迫った利上げが正当化されるとの認識も示唆することはなかった。

  パウエル議長が「当面は、FF金利の漸進的な引き上げ継続が最善策だとFOMCは考える」と議会で証言したわずか数日後の19日、トランプ大統領はCNBCとのインタビューで、パウエル議長は「とても良い人物」としつつも、利上げは「うれしくない」などと語った。

  ホワイトハウスが金融当局の独立性の領域に侵入するのはまれであり、当局がどのように行動しようと、その動機を勘ぐろうとする動きは一部にあるだろう。しかし皮肉なことに、パウエル議長の議会証言は、前任のイエレン氏を踏襲するように、ややホットな景気拡大を容認する方向に傾いていることを示唆する内容だった。

  パウエル議長は下院金融委員会で、「われわれは完全雇用に近づいているが、恐らくまだそこに達していない」とコメント。見通しに対するリスクについては「ほぼ均衡」していると話す一方、「インフレ率低下を若干ながら一段と懸念している」と述べた。

  どの物価指標を用いるかにもよるが、インフレを加味した実質ベースの政策金利は現時点でゼロないし小幅なマイナスと推計される。4-6月(第2四半期)の成長率が4.1%に達した米経済情勢に照らせば、金融当局が6月のFOMC声明で論じたように政策スタンスは緩和的であり、引き続き景気拡大を支援している。また、パウエル議長が使った「当面」という表現は、引き締め気味の政策に近づけば利上げサイクルの一時休止さえあり得ることを示唆するものと考えられる。

  バンク・ピクテのシニアエコノミスト、トーマス・コスターグ氏は顧客向けリポートで、「金融引き締めは当然ながら政治家には不人気だ。パウエル議長がトランプ大統領の経済課題を積極的に損なおうとするとは考えられない」と指摘した。 

原題:Powell to Duck Trump Jabs and Let Economy Justify Fed Rate Pause(抜粋)

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