今日の日銀会合注目点:累積する副作用の軽減策、物価低迷原因を分析

  • エコノミスト調査では全員が現状維持を予想
  • 「副作用巡る日銀内の綱引きが表面化」とRBS証券の剣崎氏

Photographer: Tomohiro Ohsumi / Bloomberg

Photographer: Tomohiro Ohsumi / Bloomberg

日本銀行は31日、金融政策決定会合を開き、当面の運営方針を発表する。物価が低迷する中、金融市場調節方針は現状維持とみられており、金融機関への悪影響や市場機能低下など累積する副作用を軽減する方策が打ち出されるかに注目が集まっている。物価が伸び悩む原因についても分析する。

  ブルームバーグが17-20日にエコノミスト44人を対象に実施した調査では、全員が金融政策の現状維持を予想した。年内の引き締め予想は1人(2%)と6月の前回調査(11%)から大きく減少した。

  最近の報道では、現在の長短金利操作付き量的・質的金融緩和の下で長期金利目標を柔軟化する案や今会合では結論を出さず発表文に副作用に配慮した政策の検討を示す文言を盛り込む可能性などが報じられた。26日付の日本経済新聞朝刊は、指数連動型投資信託(ETF)買い入れについて、TOPIX連動型などを増やし、日経平均株価連動型を減らす方向で議論すると報じた。

  日銀の決定を前に国債市場では長期金利が上値を試す展開が続いており、30日には一時、昨年2月以来の水準である0.11%に上昇。日銀は指定した利回りで金額に制限を設けずに国債を買い入れる「指し値オペ」を実施した。日銀は23日、27日にも指し値オペを実施しており、月に3度の実施は初めて。

  アール・ビー・エス証券の剣崎仁シニアエコノミストは調査で、リフレ派の若田部昌澄副総裁や原田泰審議委員は早期の利上げに否定的な一方、黒田東彦総裁や桜井真審議委員は銀行収益減少といった副作用を気にかけ始めており、「日銀内の綱引きが表面化している」と指摘した。ただ、金融機関の中小企業に対する貸出態度に悪化が見られず、「当面、政策の調整は行われないだろう」とみる。

  会合後に発表する経済・物価情勢の展望(展望リポート)では、消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)前年比の見通し(政策委員の中央値)を見直す。4月の見通しは2018年度が1.3%上昇、消費増税の影響を除き19年度、20年度が1.8%上昇だったが、足元の物価低迷で下方修正は必至だ。6月の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年比0.8%上昇と2%目標の半分以下にとどまる。

  みずほ総合研究所の高田創チーフエコノミストは調査で、物価の低迷理由の分析は「金融政策の正常化に向けた布石の第一歩」との見方を示した。

  会合は従来、おおむね正午から午後1時の間に終了している。黒田総裁は午後3時半に記者会見を行う。 

注目点
        
理由
     
展望リポートコアCPI前年比の見通しは、足元の低迷で下方修正の可能性が高い。2%の達成時期はいよいよ不透明に。
副作用対策 日銀は早期の正常化に向かうと受け取られない形での副作用軽減策に焦点を当てており、現時点で大きな政策変更の可能性は低い。仮に副作用対策が打ち出されても技術的な内容にとどまるとの見方が優勢。
リフレ派委員 副作用対策として長期金利上昇を容認するような案が浮上した場合、若田部副総裁、片岡、原田両審議委員などリフレ派がどのような姿勢を示すかも不透明要因。
為替の反応  調査で日銀が近い将来に金利の引き上げに踏み切った場合、何%円高が進むか聞いたところ、回答した36人の平均は6.3%、中央値は5%だった。最大は15%で最少は1%。

ブルームバーグの事前調査の結果はこちら

前回の決定内容

  • 長短金利操作のうち、短期金利(日銀当座預金の一部に適用する政策金利)は「マイナス0.1%」
  • 長期金利(10年物国債金利)の誘導目標は「0%程度」
  • 長期国債買い入れ(保有残高の年間増加額)のめどは「約80兆円」
  • 指数連動型上場投資信託(ETF)買い入れは年間約6兆円、不動産投資信託(J-REIT)買い入れは同900億円
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