Photographer: CHRIS RANK/Bloomberg News

熱気を失い始めた米住宅市場、売れ残り物件増-一連の統計が浮き彫り

  • 販売ペース減速、ここ数年ない広がり-競争激しい市場でも
  • 購入能力は住宅購入者の大きな悩み-NARエコノミスト
Photographer: CHRIS RANK/Bloomberg News

シアトルで家探しをしていた20代後半の夫婦は、住宅争奪戦に伴う価格つり上げにうんざりしていた。買いたい家が別の購入希望者の手に渡るのを2度経験し、賃貸契約を更新する覚悟を決めた5月、不動産仲介業者から電話があった。

  レッドフィンのエージェント、ショシャナ・ゴッドウィン氏がその夫婦に伝えたのは、シアトルのような激戦区でも売り手が焦り始めている、ということだった。売りに出されて数日で買い手が決まっていいはずの家が、数週間売れ残っている。シアトルのすぐ北に位置する寝室3部屋の要修理物件が55万ドル(約6100万円)と、それまでの60万ドル超から値下がりしているという。この夫婦は6月上旬に行動を起こし、月末までには売り手が希望した通りの価格でこの家を手に入れた。

  米国の住宅市場はシアトルやシリコンバレー、テキサス州オースティンなど特に競争が熾烈(しれつ)な都市・地域で減速が、この数年なかった規模に拡大している様相だ。

  ドットコム・バブルや住宅バブルの崩壊を予見したことで知られる、ノーベル経済学賞受賞者のロバート・シラー教授(エール大学)は、「転換点のごく初期の段階かもしれない」と語った。ただ現時点ではまだ、それを断言しないと強調した。

  先週発表された一連の住宅関連指標は、市場が少なくとも熱気を失い始めたことを浮き彫りにした。6月の中古住宅販売件数は市場の予想外に減少し、3カ月連続でマイナスとなった。6月の新築一戸建て住宅販売は8カ月ぶりの水準に減少。買い手が様子見に回り住宅価格の上昇ペースを鈍らせる中、在庫は増加に転じた。米連邦住宅金融局(FHFA)によると、中古住宅価格は5月に前年同月比6.4%上昇と、2017年初め以来最も小幅な伸びで、直近3カ月の上昇率も12年以来の低さだった。

  高価格に押されて販売が減っている一部の市場で供給が大幅に増加していると、レッドフィンは指摘する。カリフォルニア州サンノゼでは6月に在庫が前年同月比で12%増えた。シアトルでは24%、オレゴン州ポートランドでは32%それぞれ増加した。

  シアトルで活動する前出の不動産エージェント、ゴッドウィン氏は「在庫はかなり増えた。競争は以前ほど激しくない」と話した。

  住宅購入に手が届かない米国人はいまだに多く、その傾向は特に初回購入者や若年層の間で顕著だ。全米不動産業者協会(NAR)によると、中古住宅の販売価格(中央値)は6月に27万6900ドルで過去最高に達した。

  NARのチーフエコノミスト、ローレンス・ユン氏は、「購入能力は住宅購入者にとって大きな悩みの種だ」と指摘。「物価が安いアラバマ州では住宅販売が増加している。だがカリフォルニア州のような所では、家は売れない」と語った。

原題:U.S. Housing Market Is Showing Signs of Running Out of Steam (1)(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE