日本生命が海外オルタナに2000億円投資、低金利運用で収益下支え

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  • 海外オルタナ資産の利回りは一般勘定より1~1.5%高いー鈴木課長
  • 過去の高利債償還で運用利回り低下しオルタナ投資の意義増す
Photographer: Tomohiro Ohsumi
Photographer: Tomohiro Ohsumi

日本生命保険は今年度、未公開株(PE)ファンドやヘッジファンドなど、海外の代替資産(オルタナティブ)に前年度並みの約2000億円投資する方針だ。2016年のマイナス金利政策導入以降、同投資を積極化。分散投資を進めて債券・株式市場からの影響を受けにくくするとともに、低金利の運用環境の下で収益の下支えを狙う。

  鈴木康之金融投資課長はインタビューで、契約者に予定利率を保証する一般勘定の運用利回り(18年3月期で2.2%)に比べて、これまでの海外オルタナティブ資産は「100-150bp(ベーシスポイント、1bp=0.01%)高い利回りを生み出している」と話す。今後、高金利の既発債償還で同勘定の運用利回りは低下するので、オルタナティブ投資の意義は増してくるという。

  日本銀行が16年1月にマイナス金利政策を導入して以降、生保の中心的な運用対象である超長期国債(20年物)利回りは急低下。生保業界の運用難に拍車が掛かり、各社はオルタナティブ投資に力を入れ始めた。日生の場合は13ー15年度にかけて年約1000億円投資していたが、16年度に約1500億円、17、18年度は各約2000億円とここ数年は増加傾向にある。

  18 年3月末時点のオルタナティブファンドへの投資残高(実行済み)は約1兆3000億円と、一般勘定の約2%。その内訳は、PEファンド3000億円、高利回り(HY)債ファンド3000億円、新興国(EM)ファンド3000億円、ヘッジファンド2000億円、不動産ファンド1500億円、インフラファンド500億円となっている。

  S&Pグローバル・レーティングの久保英次氏は、「日本の生命保険会社は特に負債デュレーションが長いのに対し、運用サイドでは超長期の債券市場が発達しておらず、さらにマイナス金利政策もあり苦しんでいる」と指摘。オルタナティブ運用では、PEやヘッジファンドに加えて、「期間が長く生保の負債のデュレーションにマッチするインフラで非流動性リスクを取りに行く」のが流行しているという。

運用収益は一般勘定全体を100~150bp上回る

リスク・リターン特性異なるオルタナティブに投資分散

バンクローンファンドも

  保険契約に対応する運用では、高いリターンを目指して下手にリスクを取るより安定的な運用を目指しており、鈴木氏は目標リターンについて「EMファンド、HY債ファンド、インフラデットでは為替リスクをヘッジした後の円建てで2%程度取れれば十分」と話す。PEファンドの期待リターンは、流動性リスクなどを許容するため、外貨建てベースで5-9%、ヘッジファンドは円建てベースで3-4%という。

  オルタナティブ投資の新規分野では、規制強化により主に欧州の金融機関が売却するローンに投資するバンクローンファンドなどについて調査中。「投資するかは未定だが、投資機会として世の中に出てきており、良い案件があれば積極的に投資したい」と述べた。

  また、米中・米欧貿易摩擦などの影響で、世界経済の先行きに不確実性が出てきているが、オルタナティブ投資は、貿易問題による影響の有無を運用先と確認しながら、計画通り積み増していく予定だ。生保の長期運用と親和性が高いPEやインフラは、「過熱感は多少なりともあるが、割高だから投資を控える、割安だから多く投資するのではなく平準的に投資したい」という。

(第5段落に識者のコメントを加え、更新しました.)
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