「パウエル・プット」期待する地区連銀総裁-逆イールド回避で

  • パウエル議長自身はこのアイデアを受け入れる方向にないもよう
  • 過去のリセッションで逆イールドは信頼できる前兆となってきた

アラン・グリーンスパン氏が米連邦準備制度理事会(FRB)議長だった当時、投資家は米金融当局が株式市場の崩壊を防いでくれると頼りにしてきた。金融派生商品のプットオプションのような役割を果たすことから、いわゆる「グリーンスパン・プット」と呼ばれた。そして今、パウエルFRB議長も「パウエル・プット」に相当する手段を採用すべきだとする声に直面している。ただ、それが株式市場ではなく、債券市場に関するプットである点が、グリーンスパン氏の場合と異なる。

  地区連銀総裁の一部はイールドカーブ(利回り曲線)の長短逆転が過去のリセッション(景気後退)局面で信頼できる前兆となってきたとして、米短期債利回りが長期債利回りを上回るのを防ぐため、金融当局として利上げに慎重に対応するよう望んでいる。グリーンスパン氏が株式投資家に与えたのと同様な安心感を提供するというものだ。

  パウエル議長は一部地区連銀総裁のこうした懸念に共感を示しつつも、逆イールド回避のための金融政策運営というアイデアを受け入れる方向にはないと見受けられる。ライトソンICAPのチーフエコノミスト、ルー・クランドール氏はパウエル議長について、連銀総裁らの懸念を「認識してはいるが、受け入れてはいない」と指摘した。

  グリーンスパン氏自身は存在を否定したグリーンスパン・プットの下では、株式市場に大幅下落の兆しが見られた場合、投資家は金融当局による利下げを期待した。パウエル・プットについても債券市場で同じように機能するよう期待が寄せられている。具体的には、逆イールドとなった際には金融当局が利下げして期間が短めの米国債相場を押し上げ、その利回りを低下させるという趣旨だ。

  セントルイス連銀のブラード総裁は20日、ケンタッキー州グラスゴーでの講演で、「米国のインフレ期待が落ち着いていることを踏まえれば、イールドカーブの逆転を招く程度まで金融政策の正常化を推進する必要性はない」と語った。

  これに対しパウエル議長は先週の議会証言で、単にイールドカーブそれ自体に関心が集中することのないよう努めた。パウエル議長は、短期債利回りが上昇している理由は明確で、それは金融当局が利上げしているためだと説明。重要なのは「長期金利の動向」と、それが金融政策のスタンスにどういう意味を持つかという点だと論じた。

  過去のイールドカーブの長短逆転が、信頼できるリセッションの前兆となってきたのは確かだが、その理由は完全には明確でない。恐らく、短期金利で資金を借り入れて長期で貸し出す銀行の収益を圧迫するというのが最も良い説明だろう。このやり方でもうからなくなった銀行は、企業や家計への融資を減らすことになる。

  パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のグローバル・エコノミック・アドバイザー、ヨアヒム・フェルズ氏は「与信の伸びの鈍化にはタイムラグが伴う」とした上で、それがやがて「景気減速やリセッションにつながる」と話した。

原題:Fed Presidents Seek Powell Put to Prevent Inverted Yield Curve(抜粋)

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