猛暑相場で麦茶や日傘動く、今のサマーストックは中小型株

  • 伊藤園やムンバットなどに猛暑効果、7月に株価7割上昇の小型株も
  • 大型株の動きは鈍い、百貨店などは客足鈍るマイナス影響警戒

平均気温が例年以上に高い暑い夏の到来とともに、株式市場では飲料や夏物商品を扱ういわゆるサマーストックに投資資金が向かっている。企業の構造変化などから、選好されるのは大型株でなく中小型株が多い。

  気象庁によれば、7月中旬以降の平均気温は関東甲信越で平年差+4.1度など、1961年の統計開始以来の最高を記録した。第一生命経済研究所の試算では、7-9月期の平均気温が1度上がると、家計消費支出を約2884億円(0.5%)押し上げる。

  ドルトン・キャピタル・ジャパンの松本史雄ファンドマネジャーは「一般論として夏が暑くなれば消費が活性化する。外出して汗をかけば喉も渇き、飲食だけでなく暑さ対策商品を買うだろう。国内売上高比率が高い中堅企業でテーマ株になるものがある」と話す。

日傘をさし株価ボード前を歩く女性

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  高い気温が続いて熱中症対策が必要となった結果、飲料ではミネラルを成分に含み梅干しの相乗効果も指摘される麦茶の販売が好調だ。伊藤園の古川正昭広報室長は「気温が40度を超えると甘い製品や炭酸系は敬遠され、水やお茶など喉の渇きを癒やす商品が売れてくる。麦茶は7月の伸び率が前年比2桁近い」と説明した。

  日傘の売れ行きも良い。ムーンバットでは商品の6割を占めるパラソルが7月は前年比15%増という。山本聡経営企画リスク管理室室長は「暑くなればなるほど、という感じで、価格帯が低い方が伸び率が高い」と語った。

  気温、販売と同様に関連企業の株価も右肩上がりだ。伊藤園の株価は昨年末比で1割超高い水準で推移し、同業の石垣食品は7月に一時6割上昇。ムンバットは7月に大きく上げて52週高値を付けた。売上高の6-7割が食品関連、うち飲料が半分というディスカウントストアのジェーソンは7割高。暑さ対策商品を扱うクスリのアオキホールディンスコスモス薬品などドラッグストア、エアコン関連で販売が国内中心のケーズホールディングスやビックカメラといった家電量販店の株価も堅調だ。

  

アサヒのビール

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  もっとも、猛烈な暑さにもかかわらず、エアコンやビールといったかつて広く認識されていた大型株のサマーストックはさえない。ダイキン工業は7月に入って3%の上昇にとどまり、アサヒグループホールディングスなどビール大手4社はおおむね横ばいだ。「エアコンや飲料各社ともグローバル展開しているため、今は日本の気候だけを切り口に業績を説明できない」と、ドルトンの松本氏は背景を分析する。

  猛暑の弊害などのマイナス面も意識されてきた。小売りでは丸井グループや高島屋など百貨店、ファーストリテイリングなど専門店の株価がさえない。証券ジャパンの大谷正之調査情報部長は「サウナのような夏では外出や食事など消費意欲そのものがなくなりかねない。暑さをしのげない立地や市街地の店舗は敬遠され、百貨店などの販売に影響する公算」を指摘する。衣料専門店でも「夏物商品に売り切れの機会ロスが発生する一方、秋物が売れなくなる」とみる。

  猛暑効果を試算した第一生命経研の永浜利広首席エコノミストは、記録的猛暑となった1994年、2010年とも7-9月期実質国内総生産(GDP)は大幅なプラス成長となった後、10-12月期は個人消費主導で大幅なマイナス成長に転じたと指摘。特需の後にくる反動減のジンクスに注意が必要だとしている。

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