【コラム】日銀の長期金利操作、山のように動かず

訂正済み

日本銀行の黒田東彦総裁

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

日本銀行は次回の金融政策決定会合で利回り目標の柔軟化を検討する可能性があると、先週末に複数のメディアが報じた。現時点で日銀は10年物国債利回りの操作目標を「ゼロ%程度」としており、実際には10年債利回りが0.1%を超えた場合にのみ行動をとる。

  この政策は2016年9月の導入以来、大きな成功を収めてきた。なぜそれを変えるのだろうか。

Guess Not

Japanese bond investors reacted unkindly to reports the BOJ might tamper with its yield curve control policy

Source: Bloomberg

  その答えは、金融政策の伝達を巡る懸念にありそうだ。9人で構成する日銀政策委員会の一部委員は、10年債利回りの操作目標を引き上げればイールドカーブのスティープ化をもたらし、それによって銀行の収益率が上昇し、融資の伸びが活性化すると見込んでいるようだ。日本経済にインフレが全く根付いていないことを考慮すれば、確かに望ましいゴールと言えよう。

  だが、このアプローチは大きなリスクを伴う。政策変更がインフレに波及するには長い時間がかかり、短期的にはインフレ率が低下する中で債券利回りを押し上げるだろう。さらに国内投資家に日本国債の購入増加を促すという、やっかいな副作用が生じる。そうなれば円は上昇し、過去10年に得られた金融緩和の効果が台無しになる。

  ブルームバーグ・エコノミクスの増島雄樹氏は、週末の報道は日銀の観測気球だったようだと指摘した。もしそうであれば、日銀は市場から明確な回答を得られた。23日の市場で日本国債のイールドカーブは約10ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)スティープ化。1日に1bp以上動くことがまれな日本国債にとっては極めて大きな変動で、日銀は指定した利回りで金額に制限を設けずに国債を買い入れる指し値オペを5カ月半ぶりに実施した。

  従って、日銀が近く利回り目標の柔軟化に動くことはない。2%の物価目標達成は全く視野に入っていないというのが悲しい現実だ。よりよい解決策は、5年債など期限の短い国債の利回りに10年債と同様の操作目標を設定することだろう。日銀が10年債利回りを上昇させるリスクをとるのは、その後でいいはずだ。

A Sad Picture Gets Worse

The BOJ forecasts core inflation to reach 1.3 percent by the end of 2018. Economists see it reaching 0.9 percent. Both look extremely unlikely.

Source: Bloomberg

(このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、当社オーナーの意見を反映するものではありません)

原題:The BOJ’s Bond Yield Weapon Is Going Nowhere: Marcus Ashworth (Correct)(抜粋)

(3段落目の政策委員会の人数を9人に訂正し、原題とリンクを差し替えます.)

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