ドルが111円割れ、通貨戦争懸念で2週間ぶり安値-円は全面高

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  • 先週末のトランプ大統領の通貨安批判を受け、110円75銭まで下落
  • 日銀政策微調整観測も浮上、指し値オペ実施で一時円売りも続かず

東京外国為替市場ではドル・円相場が1ドル=111円台を割り込み、2週間ぶりの安値を付けた。先週末にトランプ大統領が中国や欧州連合(EU)の通貨安を批判したことを受け、貿易戦争が通貨戦争に発展するとの懸念からドル売り・円買いが強まった。

  23日午後3時現在のドル・円は前週末比0.4%安の110円97銭。トランプ発言を受けドル全面安となった先週末の流れを引き継ぎ、朝方からドル売りが先行、午前9時すぎには111円台を割り込んだ。その後、日銀による「指し値オペ」通知を受けて、111円17銭前後まで反発する場面もあったが、ドル売り・円買い圧力が根強く、11時前には110円75銭と9日以来の安値を付けた。

  大和証券の亀岡裕次チーフ為替アナリストは、トランプ大統領の通貨に関する発言は投資家にとってドルを買いにくくする要素であり、「通商摩擦に通貨摩擦が加わり国家の対立が深まると、市場にとってはマイナス要素で、やや円高圧力にもなる」と指摘。25日に行われる米欧首脳会談で通商交渉が不調に終わった場合には、110円程度までドル安・円高が進む可能性はあると語った。

  EUの行政執行機関、欧州委員会のユンケル委員長は25日にホワイトハウスでトランプ大統領と貿易問題を話し合う。トランプ大統領は20日のツイッターへの投稿で、為替相場を低めに操作してきたと中国、EUを批判し、ドル高が米国の「競争上の優位性」を鈍らせていると不満を表明。ムニューシン米財務長官は22日、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議閉幕後の記者会見で、通貨戦争が起きる可能性はないと述べ、市場の懸念沈静化に努めた。

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  ドルは主要通貨全てに対して売りが先行。ユーロ・ドル相場は一時1ユーロ=1.1750ドルと11日以来のユーロ高・ドル安水準を付けた。一方、通貨戦争への懸念からリスク回避の動きが強まり、円は全面高となっている。

  日銀は午前10時10分の金融調節で、指定した利回りで金額に制限を設けずに国債を買い入れる指し値オペを約5カ月半ぶりに実施した。日銀が副作用の蓄積に対応するため、金融緩和策の微調整を議論するとの週末の報道をきっかけに、長期金利が2月以来の水準まで上昇したことに対応した。

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  クレディ・アグリコルの斎藤裕司外国為替部長は、日本もこのまま金融緩和を続けるのが難しい状況で、当局は「将来のファインチューニングに備えてマーケットとの対話を探り始める方向に入ったのかもしれない」と指摘。CIBC証券金融商品部の春木康部長は、今回報じられた利回り目標などの柔軟化が「海外勢には正常化という文脈で捉えられている面もある」とし、少なくとも月末の日銀金融政策決定会合までは円買い圧力が続きそうだと話した。

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