中国の人民元安の幸運、トランプ大統領の批判で先行き不透明に

  • 15年の人民元安では世界的批判とパニック的な資本流出招いた
  • 元は6月半ば以来5%近く下落、中国の為替政策に厳しい視線

中国は1カ月以上の間、2015年の人民元下落で招いたような世界的な反発とパニック的な資本流出なしで通貨安の利益を享受しているようだが、トランプ米大統領が反論した。

  元が6週間にわたり下落基調となり、対ドルで1年以上ぶりの安値をつけた中、トランプ大統領は中国が元を「操作しており」、元は「石のように落ちている」と指摘した。ツイートやCNBCとのインタビューでの大統領発言は、米中貿易戦争が通貨も含めたものに拡大し、中国による元相場の管理にあらためて厳しい視線が向けられていることを市場参加者に示唆している。

  元が6月半ば以降に5%近く下落したことから、輸出への逆風に直面する中国当局者にとっての今の問題は、別の景気支援策に注目すべきかどうかだ。JPモルガン・チェースのアナリストらは、中国にとって現在のアプローチを続けることはリスクが大き過ぎ、2015年の混乱の二の舞いになる恐れがあると見る。

  JPモルガンのエコノミスト、ジャンハンギル・アジズ氏と朱海斌氏は20日付のリポートで、「中国はこれまでのところ、金融政策の緩和や元安容認を通じて貿易戦争に対応してきた」と指摘。「負担を軽減するために他の措置、特に財政措置を早期に講じる必要がある」と述べた。

  トランプ氏の批判はさておき、中国ウオッチャーは、今回の人民元安が15年のような衝撃ではなく、経済ファンダメンタルズの反映として投資家に理解されている点を強調する。

  HSBCホールディングスのアジア経済調査共同責任者、フレデリック・ニューマン氏はブルームバーグテレビジョンに対し、「元は幅広いマクロ的視点から下落しているはずだ。米金融当局が利上げし、中国人民銀行(中央銀行)は緩和している。いずれそれが為替市場に反映されてくる」と指摘。「変動性を高め市場原理を取り入れる中国中銀の幅広い政策に依然として沿った動きだ」と付け加えた。

  ブルームバーグ・エコノミクスの試算では、経済ファンダメンタルズを基にすると元は約6.6%過大評価されている。フィールディング・チェン氏とトム・オルリク氏は20日、元の「下落は中国政府の意向に沿っており、制御されている」と分析した。

原題:China’s Luck on Yuan Devaluation Risks Running Out on Trump Ire(抜粋)

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