安倍首相は自民総裁選出馬へ、政権継続に決意-菅官房長官

更新日時
  • 経済、憲法、外国人材活用など課題、「本人が出馬の際に明言する」
  • 消費増税前のデフレ脱却宣言は「必ずしも必要でない」

菅義偉官房長官は9月の自民党総裁選に安倍晋三首相が立候補し、経済再生や憲法改正、外国人材活用などの政策に取り組む姿勢を「しっかりと本人が出馬をする際に明言する」との見通しを明らかにした。21日、ブルームバーグのインタビューで語った。

菅義偉官房長官

Photographer: Keith Bedford/Bloomberg

  菅氏は、「未来を見据えた改革」の必要性などを説いた安倍首相の20日の記者会見での発言について、平成が終わる来年以降の「新しい時代」に向けた「ひとつの大きな節目に対しての決意のようなものを感じた」と語った。具体的な出馬表明時期については西日本の豪雨災害対応を優先し、避難生活の人がだんだん少なくなるような状況を作った後になるとの認識を示した。

  安倍首相は記者会見で、政権による取り組みで、「失われた20年から脱却しつつある」とし、「平成のその先の時代、次の世代のために、わが国の経済社会システムをもう一度作り上げていかなければならない」と述べた。ただ、総裁選出馬については「せみ時雨を聞きながらよく考えていきたい」と明言を避けた。

  総裁選に向けては、二階俊博幹事長らが安倍首相の3選支持を明言しているのに対し、石破茂元幹事長が出馬準備を進めており、野田聖子総務相も意欲を示している。岸田文雄政調会長はまだ態度を明らかにしていないが、自身の派閥から出馬を求める声が上がっている。
 

経済再生

  政権発足時から5年半にわたって官房長官を務める菅氏は、これまで「経済、外交安全保障の再生を優先して取り組んできた」と振り返る。

  日本経済は日本銀行による金融緩和を柱としたアベノミクスにより、「デフレではないという状況までようやくこぎつけた」と指摘。黒田東彦総裁を「全面的に信頼している」と述べ、金融政策の具体的な手法を委ねつつ、今後の対応を「しっかり見守っていきたい」と述べた。

  安倍政権は2014年4月に消費税率を8%に引き上げた後の景気の落ち込みから、15年10月に予定していた10%への増税を2回にわたって延期した。来年10月には実施する方針だが、安倍首相は6日の経済財政諮問会議で需要変動に対応した臨時・特別な措置を来年度、再来年度予算で講じる考えを示している。菅氏は増税の悪影響を抑えるため、「十分な対策を採りたい」と述べたが、具体的な規模は示さなかった。

  増税前の「デフレ脱却宣言」については「必ずしも必要でない」とする一方、「そういう方向に向かってきていることは事実だと思う」との認識を示した。

  米国との通商交渉については、トランプ政権が関心を示している自由貿易協定(FTA)など2国間取引に対し、環太平洋連携協定(TPP)の枠組みが「日米両国にとって最善だ」と主張していく考えを示した。米国が検討している自動車関税については、発動を回避するよう、日本の自動車産業による米経済への貢献を「大統領に対して粘り強く説明をしていくことが大事だ」と述べた。

  北朝鮮への対応では、6月の米朝首脳会談で両国が相互不信の殻を破り「大きな突破口を開くことになった」と指摘。菅氏は金正恩朝鮮労働党委員長に対し、拉致問題でも「決断を期待したい」と求めた。日朝首脳会談に関しては現時点で何も決まっていないとしながらも、安倍首相は「どんな小さなチャンスでも、必ず生かして対応したい」との意向だと述べた。

外国人労働者

  安倍政権は新たな改革に向けた準備も進めている。6月に閣議決定した骨太方針に新たな在留資格の創設を盛り込み、外国人労働者の受け入れ拡大にかじを切った。菅氏は受け入れ業種について、介護・農業・建設・造船・宿泊のほか、水産や食品加工、外食など人手不足が「非常に深刻な業種に広げていく」と幅広い分野での活用に意欲を見せた。
  
  新在留資格は19年4月からの運用を目指す方針で、月内にも必要な法整備などを協議する関係閣僚会議を設ける。政府は移民政策ではないとの認識を示しており、菅氏は一定の専門性や技能を持ち即戦力となる外国人労働者は「国民にも受け入れられる」と説明した。人手不足が顕在化している地方などでは受け入れ拡大を「皆が早くやってほしい」との意向だと指摘、「それだけ深刻だということだ」とも語った。

(第10段落に北朝鮮問題に関する発言を追加します.)
    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE