日銀:副作用対策で持続性高める方策を議論、政策は維持-関係者

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  • 物価の低迷で超低金利政策のさらなる長期化は必至
  • 市場機能の低下や銀行経営への副作用は累積的

The Bank of Japan headquarters in Tokyo.

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg
Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

日本銀行が30、31の両日開く金融政策決定会合を間近に控え、市場機能の低下や金融機関の経営に及ぼす悪影響など、超金融緩和の長期化で累積する副作用を軽減する方策を模索している。

  週末に流れた一連の報道では、現在の長短金利操作付き量的・質的金融緩和の下で長期金利目標を柔軟化する案から、今会合では結論を出さず声明文に副作用に配慮した政策の検討を示す文言を盛り込む可能性などが報じられた。これらを受けて、20日の米国市場で国債先物相場が下落し、円ドル相場も1ドル=112円台半ばから111円台半ばに上昇した。

  事情に詳しい複数の関係者によると、日銀は時期尚早な正常化に向かっていると受け取られない形で副作用を軽減できる方策に焦点を当てており、長短金利操作やリスク資産の買い入れ額の変更など、現時点で大きな政策変更が行われる可能性は低い。日銀内では、副作用を根本的に抑え込むことは困難との声も根強い。

  黒田東彦総裁にとって悩ましいのは、物価の低迷が長引く状況で金融緩和に逆行するような政策を取れば、円相場が急伸してデフレ脱却がおぼつかなくなることだ。20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に出席するためアルゼンチンのブエノスアイレスを訪れている総裁は記者団に対し、一連の報道について「どういう根拠で報道されているのかも全く存じません」と述べた。

  月末の金融政策決定会合については「当然のことながら最近の経済・金融情勢を十分議論し、次回の決定会合までの政策運営方針を決定する」とした上で、「事前に予測めいたことを言うのは適切ではない」と語った。

  23日の東京市場は、長期金利が2月以来の水準の0.09%に上昇したことを受け、日銀が指定した利回りで金額に制限を設けずに国債を買い入れる指し値オペを約5カ月半ぶりに実施した。午前11時現在、日経平均株価は前週末比255円78銭(1.13%)安の2万2442円10銭と大幅安。円ドル相場は110円台後半で推移している。

  みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは同日付のリポートで、「緩和の長期化」とそれに伴う「副作用の軽減」をうまく達成できるような政策を決定することは容易ではないと指摘。今回の決定会合で何らかの結論が出される可能性は「高くない」としている。

  ロイターは20日、長期金利目標やETF(上場投資信託)買い入れ手法の柔軟化などが選択肢になると報じた。英文記事では、議論は準備段階のもので政策委員が出す物価見通し次第で変わり得るという。21日付の朝日新聞は、今会合で「本格的な議論を始める」が、具体的な対応策について結論を出さず、声明文に「緩和の副作用に配慮した政策を検討することを示す文言を盛り込む可能性がある」としている。

下方修正は必至

  日銀は同会合で経済・物価情勢の展望(展望リポート)をまとめ、消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)の見通しを示す。4月時点の政策委員の見通し(中央値)は今年度が前年比1.3%上昇、19年度と20年度が消費増税の影響を除き1.8%。6月の実績値は0.8%上昇と4カ月ぶりに伸びを高めたが、エネルギーを除くコアコアCPIは0.2%と伸びが鈍化しており、見通しの大幅な下方修正は必至の状況だ。

  異次元緩和が始まって5年以上たった今も目標達成への道筋は見えない。金融正常化が進む米欧との距離が広がる中、大量の国債購入を続ける異次元緩和の副作用への懸念も強まっている。物価見通しが大幅に下方修正されれば、現在の超金融緩和が一段と長期化するため、金融機関経営への負担や市場機能の低下など、日銀としても副作用を無視できない状況になりつつある。

  金融庁がまとめた報告書によると、長期の金融緩和、特にマイナス金利政策に伴う利ざや縮小などにより、地方金融機関は貸し出しや手数料など本業の利益が悪化しており、17年度は過半数の54行が赤字、うち12行が2期連続、40行が3期以上連続の赤字となった。国債市場では、日銀の大量購入で市場に流通する国債が減少し、新発10年物国債の売買が不成立に終わる日が頻発している。

一枚岩ではない政策委員会

  6月14、15の両日開かれた金融政策決定会合の主な意見では、「経済・金融環境に深刻なゆがみが生じることがないよう注意しながら、持続性に十分配慮した政策運営がなされるべきだ」といった声や、「本来の市場機能をできるだけ維持する観点から市場調節を運営していくことが重要」など、副作用を懸念する声が増えている。

  一方で、片岡剛士審議委員が同会合で、消費増税や米景気後退などリスク要因を考慮すると「金融緩和を一段と強化することが望ましく、10年以上の幅広い国債金利を一段と引き下げるよう長期国債買い入れを行うことが適当」と主張するなど、政策委員会は一枚岩とは言えない状況だ。

(週明けの市場の動きとコメントを追加しました.)
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