Photographer: Bloomberg/Bloomberg

通貨戦争の様相、米財務長官がトランプ大統領に続き中国を名指し批判

  • 貿易摩擦が外為市場に飛び火、トランプ氏が中国・EUは通貨を操作
  • 通貨戦争は株式や原油、新興市場資産をリスクにさらす
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1日当たり5兆1000億ドル(約573兆円)が取引される外為市場で最も優秀な為替ストラテジストの一部が通貨戦争が始まったとの見方を示した。

  トランプ米大統領は20日のツイッターへの投稿で、通貨と金利を不当に低い水準に操作してきたと中国、欧州連合(EU)を批判。これに先立ち、人民元相場はこの日、対ドルで急落し、1年ぶりに1ドル=6.80元を超えた。しかし、中国人民銀行(中央銀行)が元安に歯止めをかけるため市場介入する兆候はほとんどみられない。ロイター通信によれば、ムニューシン財務長官は中国が為替を操作しているかどうか注視していると述べた。

  世界2大経済大国の米中が日増しに激しさを増す瀬戸際外交の新たな局面を切り開く中、米中の通貨を巡る争いが深刻な影響をもたらし、ドルと元以外の通貨にも波及する可能性がある。また現在の世界的な金融秩序も脅かされ、株から原油、新興市場資産に至るあらゆるものが打撃を受ける恐れがある。

  2016年にエグザンテ・データを立ち上げるまでの5年間、ウォール街の為替ストラテジストとして毎年トップにランクされたイェンス・ノルドビグ氏は、「本当のリスクは、世界貿易と通貨の協調が幅広く崩れ始めていることであり、これは良いことにはならない。トランプ大統領のこの24時間の発言がリスクを貿易戦争から通貨戦争へとシフトさせていることは確かだ」と分析した。

  ゴールドマン・サックス・グループの元主任為替ストラテジストで、現在は国際金融協会(IIF)のチーフエコノミストを務めるロビン・ブルックス氏は、2015年の中国の人民元切り下げが今後の影響の広がり方を予測するのに役立つと指摘。経済成長懸念の高まりに伴い、リスク資産と原油相場が急落する可能性が高く、その場合、ロシア・ルーブルやコロンビア・ペソ、マレーシア・リンギットといった一次産品輸出国の通貨が特に大きな打撃を受け、その後、アジアの他の国の通貨が押し下げられるだろうと述べた。

  同氏は、「アジアの中銀は当初、通貨安を介入によって阻止しようとするだろう。しかしその後、介入から手を引くと予想する。私の考えでは向こう6カ月で最も通貨安となり得るのはアジアの新興国だ」と述べた。

  ノルドビグ氏は、中国中銀がさらなる元安を回避するため、ドル・元相場を1ドル=6.8元付近にとどめようとすうるかどうかが鍵となると指摘した。また、米国が1月に口先介入でドル下落を図ったことが欧州中央銀行(ECB)では非常に不評だったことから、ドラギECB総裁が今月26日の政策会合で為替論議に加わる可能性があると述べた。

  ロイター通信によれば、ムニューシン長官は中国について、「通貨安が彼らに不当な優位性をもたらすことは疑いない」とした上で、「われわれは彼らが通貨を操作していないかどうか非常に注意深く検討する」と述べた。

原題:Currency War Erupts as Mnuchin Joins Trump in Spotlighting China(抜粋)

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