トランプ大統領のFRB批判は裏目に出る可能性-利上げ意志強化も

  • 大統領は利上げを「うれしくない」と発言、金融政策に異例の言及
  • 大統領にへつらうように見える状況では利上げに傾く-フェロリ氏

トランプ米大統領が米連邦準備制度に対し19日行った異例の批判は、金利上昇という大統領がまさに望まない事態を招く結果に終わりかねない。

  何十年も見られなかった大統領からの金融緩和維持の圧力を受けて、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長と連邦公開市場委員会(FOMC)のメンバーらは、微妙な判断となる場合には政治からの独立性を証明するため利上げに一段と傾く可能性がある。

  JPモルガン・チェースの米国担当チーフエコノミスト、マイケル・フェロリ氏は顧客向けリポートでトランプ大統領がCNBCとのインタビューでFRBを批判したことについて、「大統領の発言は、委員会をタカ派の方向に傾斜させる可能性がある」 と指摘。「金利決定が紙一重の場合、大統領にへつらうように見える状況では、利上げに傾く可能性がある」と指摘した。

  トランプ大統領はCNBCに対し、米金融当局の利上げは「うれしくない。経済に課しているこうした作業の全てを私は好きではないし、金利の上昇が見られる」と指摘。その上で「うれしくはないが、同時に彼らが最善と考える行動を私は容認している」とも述べた。自身がイエレン前FRB議長の後任に指名したパウエル議長については「とても良い人物だ」と付け加えた。ホワイトハウスのウォルターズ報道官はその後、電子メールで配布した声明で、大統領は「FRBの独立性を尊重している」と説明した。

  サマーズ元財務長官とピーターソン国際経済研究所のアダム・ポーゼン所長はいずれもフェロリ氏の見方に同調。サマーズ氏は「FRBは独立性を主張する必要性があることから、大統領の介入の結果として可能性が高いのは、利上げだ」とツイートした。

  FOMCはトランプ大統領の2017年1月の就任以来、利上げを5回実施しており、年内にあと2回行う見込み。米国債と住宅ローン担保証券(MBS)の保有も徐々に減らし、景気支援策を縮小しつつある。ただ、FOMCの引き締め姿勢が過去2番目に長い米景気拡大局面を抑制している証拠はほとんどない。失業率はトランプ政権発足時の4.8%から4%に低下した。一部のエコノミスト予想では、4-6月(第2四半期)の国内総生産(GDP)伸び率は4%強と、1-3月(第1四半期)の2倍前後のペースが見込まれている。

  ホワイトハウスは20年余りにわたりFRBの独立性を尊重する立場から金融政策へのコメントを避けてきたが、トランプ大統領の批判はこの伝統を破った。ブルッキングズ研究所のシニアフェローを務めているコーン元FRB副議長は「短期的な政治的圧力からFRBが独立性を保つことは、雇用と物価の安定という法律で定められた2つの責務の達成に不可欠な長期的な観点に立つ上で極めて重要だ」と述べた。

  FRBの広報担当、ミシェル・スミス氏はコメントを控えた。パウエル議長は先週、アメリカン・パブリック・メディアの番組で、FRBには「特定の手法で政策を実行する長年の伝統がある。それは全ての政治的懸念から独立した手法だ」と述べていた。

  金融政策に米大統領が圧力をかけた直近の事例として知られているのは、再選を目指していたブッシュ(父)政権のケースで、1992年6月に当時のグリーンスパン議長率いるFOMCに利下げを公然と求めた経緯がある。

原題:Trump Fed Bashing Could Backfire by Stiffening Rate-Hike Resolve(抜粋)

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