中国環境規制やEV需要で原料急騰、黒鉛電極再値上げ-東海カーボン

  • 7月から国内向けは3-4割引き上げ、海外向けも従来想定上回る
  • 黒鉛電極の販売価格は昨年平均の4倍に、原料価格は来年も上昇予想

東海カーボンは主力事業である黒鉛電極の国内外向け販売価格を7月から引き上げた。黒鉛電極は、電気炉で鉄スクラップから鉄鋼を生産する際に欠かせない素材。主原料のニードルコークス価格が中国での環境規制の影響や電気自動車(EV)の電池材料としての需要増を受けて急騰しているためだ。国内向けは4月の値上げからわずか3カ月での異例の再値上げとなった。 

東海カーボンの黒鉛電極

Source: Tokai Carbon

  電極事業部長の榎谷謙士理事が19日、インタビューで明らかにした。「原料価格が異様な上がり方をしており、あまりにも変化が激しい」と説明。ニードルコークスの価格は昨春以降に上昇し始め、特に今年に入ってから値上がりが顕著になったという。「価格が上がった分はお客さまにお願いするしかないのが現状だ」と述べた。黒鉛電極の販売価格の約3分の1をニードルコークスが占める。

  国内向けの黒鉛電極の価格は、4-6月の1トン当たり90万円から3-4割引き上げた。通常は年または半年ごとに決めていたが、3カ月で見直したのは初めてで、過去最高値となった。全体の約6割を占める輸出向けは、7-12月で1トン当たり1万2000-1万3000ドル。従来想定の1万1000ドルを上回る。1-6月と比べて5-6割の値上げとなる。昨年の平均価格からは4倍に急騰した。

  鉄鉱石や石炭を原料に鉄鋼を生産する高炉と違い、電炉は鉄スクラップを原料として再利用する。炉の中に直径約60センチ、長さ3メートル弱ほどの円筒状の黒鉛電極を複数投入し、大量の電流を流して高温を発生させ、スクラップを溶かして鉄を回収する。黒鉛電極は消耗品で、主原料には石油精製などの過程で生じるコークスを加工したニードルコークスを使う。 

営業益予想を上方修正

  ニードルコークス急騰の背景には、中国の環境規制の強化がある。地条鋼と呼ばれ、環境にも悪影響を与える粗悪な鋼材を生産する違法業者の取り締まりを昨年6月まで進めた。これにより、それまで安価で出回っていた鉄鋼が不足し、代替として鉄スクラップから鉄鋼を生産する電炉での生産が急増。ニードルコークスの需要も殺到し、価格が急騰した。

  さらに、EVに使用されるリチウムイオン電池の負極材としてニードルコークスが使用され始めたことも、需給逼迫(ひっぱく)に追い打ちをかけている。榎谷理事は「ピークはまだ迎えていない」として、ニードルコークスの価格は来年にかけても上昇するとの見通しを示す。

  東海カーボンは5月、今期(2018年12月期)の連結営業利益予想を期初予想の430億円から、前期比5.7倍の657億円まで引き上げた。黒鉛電極事業の利益拡大がけん引する。ブルームバーグが集計した20日時点のアナリスト予想の平均は688億円と会社予想を上回る。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE