バーナンキ、ガイトナー、ポールソンの3氏が危機対応に一定の懸念

  • 銀行システムが10年前の危機時よりずっと堅固になった点は認める
  • 緊急時対応の権限、現在では「幾分弱められている」-ガイトナー氏

現役の米金融当局者は、今後新たな金融危機に見舞われた場合、それに対処するのに必要となるであろう手段を保持していると自信があるように見受けられる。しかし、10年前の危機当時、最前線でその対応を指揮した元当局者らの一部は、それほど確信を持てずにいる。

  元連邦準備制度理事会(FRB)議長のベン・バーナンキ氏、ニューヨーク連銀総裁や財務長官を歴任したティモシー・ガイトナー氏、ガイトナー氏の前任の財務長官だったヘンリー・ポールソン氏は程度の差はあるものの、米国が新たな金融メルトダウンと闘う能力にいずれも懸念を示した。

  3氏は、銀行システムが当時に比べはるかに堅固である点を認めながらも、米国の危機対応手段に10年前には存在しなかったような弱点が幾つかあると考える。記者団との合同ブリーフィングで語ったもので、拡大が続く米国の財政赤字についても批判した。

  現在はプライベートエクイティ(PE、未公開株)投資会社ウォーバーグ・ピンカスの社長を務めるガイトナー氏は、「経済や金融システムに典型的に生じ得るそれほど激烈でないショックの数々に対する防御力は高まったが、極端な危機に対しては恐らく、望ましい状態よりも自由度が低く、制約は多いだろう」と語った。

  10年前の金融危機の結果、1930年代の大恐慌以来で最悪のリセッション(景気後退)に陥った米国は、一連の金融規制改革を実施した。大手銀行を強化したり経営難銀行の閉鎖を容易にしたりするための規則も盛り込まれたが、中には連邦準備制度や財務省、連邦預金保険公社(FDIC)が金融機関を支援する際の裁量を制限するものもある。先の危機での金融機関救済やウォール街に対する大衆の反発に、議会が応えたためだ。

  ガイトナー氏は、それらがなければ10年前の危機に決して対応できなかったと思われる緊急時の権限が、現在では「幾分弱められている」と指摘。ポールソン氏も、財務省の為替安定基金(ESF)やFDICに対して議会が設けた制限を特に挙げ、ガイトナー氏の見解に同調した。

  バーナンキ氏は、トランプ大統領と議会が合意した減税と支出拡大は時宜を得たものではないと論じ、経済が完全雇用にあるかそれに近い状態で導入されようとしていると指摘した。政府債務急拡大の長期的な結果についても懸念を示した。

  ガイトナー氏はこれに関連し、財政赤字と債務残高の増大は、先の危機時に比べて政府が需要喚起のための政策を講じる余地が小さくなることを意味すると発言。政策金利の水準についても、2007年7月に5.25%だったのに対し現在は1.75-2%と利下げ余地が乏しいことを指摘した。

  ポールソン氏は、危機のさなかにおいては、経営破綻した金融機関の清算手続きを一定の時間をかけて進めることができるよう、たとえ政治的に困難であるとしても金融規制当局が一時的な支援を提供しなければならないだろうとコメントした。

  ワシントン政界のとげとげしい雰囲気の中で当局と政治家が将来、混乱に取り組む上で相違を乗り越えることができるかと問われたのに対しポールソン氏は、その答えは「知りようがない」とした上で、「尋ねるべき質問だ」と付け加えた。

Debt Pile Up

U.S. publicly held debt has been growing since the end of the financial crisis

Source: Federal Reserve Bank of St. Louis

原題:Bernanke, Geithner, Paulson Voice Some Concern About Next Crisis(抜粋)

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