パウエル議長:避けるべき政治的地雷は貿易摩擦と緩和的な財政政策か

  • FRB議長は17、18両日に半期に1度の議会証言に臨む
  • 推計は誇張し過ぎず事実に徹するスタイルを維持か

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が金融政策運営に当たって直面している最大のリスクは、貿易摩擦と緩和的な財政政策だ。そして、この2つは政治的に最も厄介なわなでもあり、パウエル議長は今週の議会証言で地雷を踏むのを避けようとするだろう。

  パウエルFRB議長は米東部時間17日午前10時(日本時間同午後11時)から半期に1度の金融政策報告について上院銀行委員会で証言する。翌18日には下院金融委員会での証言に臨む。

パウエルFRB議長

写真家:Andrew Harrer / Bloomberg

  パウエル議長は12日、ラジオ局アメリカン・パブリック・メディアの番組のインタビューで、米経済は「非常に良好」だと述べる一方、米金融当局がこれまでに想定してきたよりも速いペースで利上げする緊急の必要性はないとの認識を示唆した。

  米議員は11月の中間選挙を念頭に、共和党が低失業率・低インフレの下での景気拡大持続を成果として掲げる一方で、民主党は大手銀行に対する一部規制の緩和を攻撃する可能性がある。

  だが、両党から予想されるいずれの指摘も、米金融当局が今後2年間に直面するであろう大きなリスクに対応するものではない。当局は1兆5000億ドル(約169兆円)規模の減税と連邦支出3000億ドルの追い風が景気過熱を生じさせることがないよう、十分なペースで利上げを進める必要がある。

  将来のある時点で財政刺激策の効果は多少弱まると予想され、経済の基調的なトレンド成長率に比較して、金利を高過ぎる水準に設定する政策ミスを犯さぬよう、金融当局はいつにも増して機敏に対応しなければならないだろう。当局者には間違った思い込みをしたかどうか直接確かめるすべはなく、金融市場のシグナルを頼りに行動するよう求められる。

  TDセキュリティーズUSAのグローバル金利戦略責任者、プリヤ・ミスラ氏は、金融当局が景気の加速も減速も招かない中立金利よりも高い水準に政策金利を引き上げ始めれば、「市場では、非常に速いペースで金融環境が引き締まる可能性ある。当局は機敏に行動しなければならないが、1つの機関として機敏であるという点で好成績を収めてきたとは言えない」と語った。

  一方、貿易摩擦の深刻化は、当局者にとって不透明感を増す形となっている。

  マクロポリシー・パースペクティブズのジュリア・コロナド社長は、関税が理由で企業にサプライチェーンの再編成と投資計画の変更を余儀なくしている事態は「極めて複雑な向かい風となっている」と述べ、金融当局が中立金利と推計する水準に近づけば「一時停止する公算はとても高い」との見方を示した。

  パウエル議長は12日のインタビューで、貿易摩擦が関税引き下げにつながるなら、「米経済にとって良いことだ」と話す一方、高関税の時期が長期化するなら「マイナスとなる恐れがある」と言明。財政政策を巡っても、減税は「投資拡大と生産性向上」につながるかもしれないとしつつも、米国は長期的には「財政的に持続不可能な道筋」にあると、一方に偏ることのないよう慎重に発言した。こうした回答の仕方は、基本的に推計であるものは誇張し過ぎず、事実に徹するというパウエル議長のスタイルに沿ったものでもある。

Running hotter

Stimulus adds to inflation and growth. Lowers unemployment rates

Source: Moodys Analytics

原題:Powell to Cross Political Minefield as Trade War Clouds Outlook(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE