異次元緩和の転換点はまだ先、利上げは問題外ー諮問会議の伊藤元重教授

  • 急に緩和やめれば市場は混乱、粘り強く物価と成長率上昇を待つ
  • マイナスのインパクトは相当小さいー来年の10%への消費増税

経済財政諮問会議の民間議員を務める伊藤元重学習院大教授(66)は、日本銀行による異次元緩和の終わりは遠く、市場の混乱を避けるために現行の金融政策を粘り強く続けるべきだとの見方を示した。

伊藤教授

Photographer: Tsutomu Suyama via Bloomberg

  伊藤氏は10日のインタビューで、強力な金融緩和をしてきたからこそ出口に向けた「転換点というのはすごく慎重にやらないといけない」と語った。市場への悪影響を考慮すると「利上げは問題外」としつつ、2%の物価上昇を「今あきらめる理由はない」と考えており、「まさに粘り強く、物価や成長率の上昇を待つ」のが適当とみている。

  潤沢な内部留保を背景に企業が設備投資に積極的になったり、人手不足を受けて賃金を増加させたりするなど、物価上昇へ向けた動きも出てきているという。米国発の貿易戦争の懸念もくすぶるが、伊藤氏は足元の日本経済は強いとの認識だ。

  黒田東彦総裁の下で異次元緩和を開始して5年が経過したが、物価は伸び悩む。5月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年比0.7%上昇と日銀の2%物価上昇目標の半分に達しない。金融緩和が長期化する中、効果と副作用のバランスに注目が集まってきている。

労働市場と賃金の動きについてはこちらを参照

  政府が6月に策定した骨太方針では、2019年10月の消費税率10%への引き上げに伴う需要変動への対応措置を19-20年度の当初予算で講じると明記した。14年の消費増税では、駆け込み需要の反動減が発生し、景気の回復力が弱まったためだ。

  骨太方針の策定に関わった伊藤氏は、住宅ローン減税や自動車の安全装置のための補助金などを選択肢に挙げ、場当たり的に補正予算に頼るのではなく、当初予算で対処することで生産性向上などに継続的に取り組むことが必要と述べた。前回よりは増税幅も小さく軽減税率も適応されるため、「需要に対するマイナスのインパクトは相当小さい」と分析している。

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