ヘッジファンドに貿易摩擦のとばっちり、M&A裁定ファンドが苦戦

  • M&A活動拡大で本来は利益出るはずが、1-6月成績はマイナス
  • 米中貿易摩擦でトランプ政権が一部案件阻止、中国が承認先送りも

企業の合併・買収(M&A)が今年は活発なのに、このような機会から利益を得ることを目指すヘッジファンドが苦戦している。

  今年1-6月のM&Aは評価額で43%増加、大型案件は件数が金融危機前と比べても過去最高となった。こうした機会に賭けるファンドマネジャーには絶好な狩り場となったはずだが、M&A裁定ファンドは上期成績がマイナス0.6%だった。M&Aに限らず、企業の幅広い活動から利益を得ようとするイベントドリブン型はマイナス4.5%。

  成績が振るわない一因は高まる政治リスクにある。トランプ米政権は今年に入り、国家安全保障上の懸念を理由に、半導体メーカーのブロードコムによる米同業クアルコムの買収計画を阻止。また、別の案件は米中貿易摩擦を背景に承認が遅れた。そこに市場のボラティリティー急上昇が加わり、ファンドに一段のダメージを与えた。

  マン・グループのGLG部門で最高投資責任者(CIO)を務めるピエールアンリ・フラマン氏は「米国の案件は一段と政争に巻きこまれるようになっており、ファンドマネジャーが政治アナリストになるのは難しい」と指摘。「これまで目にした数件の案件崩壊以降、リスクが高い環境になっている」と語った。 

  M&A裁定ファンドは、合意発表時の買収ターゲットの株価と取引完了時の株価の格差から利益を得ることを目指す。格差が大きければ利益が増えることになるが、M&A自体が決裂したり先送りにならない状況が前提だ。

  そのような状況がクアルコムによるNXPセミコンダクターズ買収計画で起きた。米中貿易摩擦を受けて中国が承認を先送りした4月、NXPの株価は10%余り下落し、多くのヘッジファンドに損失をもたらした。Pスクエアード・イベント・オポチュニティー・マスター・ファンドはNXP株の賭けのみで運用成績がマイナス2.4%となったほか、NXPへの投資でアブラックス・マージャー・アービトラージ・ファンドはマイナス2.7%。いずれも投資家向け書簡で分かった。

  アブラックスの広報担当者はその後、同ファンドはNXP投資の損失から成績を回復したと説明。Pスクエアードにもコメントを求めて電話したが、これまでのところ、返答はない。

Flurry of Deals

The number of deals worth $5 billion or more is at the highest level in 11 years

Data for the first half of each year

原題:Hedge Funds Caught in Trump’s Trade War Crossfire Feel the Pain(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE