大気汚染で景気の状態を判断、AIでデータ分析のファンド開始

  • 米ディープマクロ社提供のデータを活用、統計よりいち早く経済分析
  • 地域金融機関や個人投資家から2、3年で最大3000億円の獲得目指す

日本のヘッジファンド運用会社、シンプレクス・アセット・マネジメントは人工知能(AI)でビッグデータを分析、世界6カ国の株や債券に投資するファンドの運用を9月にも始める予定だ。上空からの大気汚染の状況から景況を判断するなど、経済統計よりも早くリアルタイムで分析できる。AIとビッグデータを活用した公募ファンドとしては、日本初だという。

  AIを活用したビッグデータの分析は米ディープマクロ(DM)社が手掛け、シンプレクスに提供する。DMの共同創業者ジェフリー・ヤング氏によると、米航空宇宙局(NASA)の人工衛星から送られてくる大気汚染のデータで工業生産を推定したり、約3万社の米企業のウェブサイトから採用情報を収集し米雇用の伸びを算出。これにより、例えば中国の工業生産であれば、統計発表よりも「6週間早く予測できる」と話す。

広がる大気汚染

Photographer: SeaWiFS Project/NASA/Goddard Space Flight Center/ORBIMAGE

  DMの分析に基づき、シンプレクスは変動率(ボラティリティー)が4%程度になるよう投資配分を決定し、運用する。同社運用本部の石川亮三ディレクターによると、最低月1回の見直しを行い、リスクを抑えて安定的なリターンを目指す。運用難の地域金融機関のほか、提携会社を通じて個人投資家への提供も検討。2、3年で2000億ー3000億円の運用資金を獲得したい考え。

  ヤング氏は「機械学習とビッグデータを使ったマクロ戦略の公募ファンドは日本初」と話す。

  DMのデータ分析を活用した過去14年間のデータに基づくテスト運用の結果では、平均リターンが年率約5.6%、ボラティリティーが約4.2%だった。AIシステムは当時のビッグデータ分析から、リーマンショック前の2007年に株式を運用額の50%超に増やしていたものの、翌08年は一転ゼロに減らすよう示唆。ヤング氏は「経済状態が次のステージに変わり、株の期待収益率が低下し、債券が上昇した」と説明する。

  DMは、ノーベル経済学賞受賞者マイロン・ショールズ氏とともにプラチナム・グローブ・アセット・マネジメント(PGAM)を創業しCIOを務めたチーフー・ファン氏と、同社でチーフエコノミストを務めていたヤング氏らが設立。PGAMで開発したモデルがシステムの中核となっているという。

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