少子化時代は自ら稼げ、東大が土地活用で三菱・三井と提携-国費減

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  • 東大の国内保有不動産は3億平方メートル、このうち都内は1割程度
  • 18歳人口は92年の205万人から40年には80万人に減少見込み

「民間の知恵をいただき、保有地の活用を進めたい」。5月に三菱地所と不動産活用の企画で提携した東京大学の渡邉重夫・財務部資産課長はこう話す。東大は昨年、西千葉キャンパス(約9.8ヘクタール)の柏キャンパスへの移転が完了し、跡地売却などを検討。西千葉の運動場なども民間事業者との協力を含め有効活用を探っている。

  三井不動産・日本総合研究所・三井住友銀行も10日、東大との協定締結を発表。東大が民間と協力して保有地の売却・開発に動く背景には、少子化と国の交付金減がある。大学に入学する18歳人口は1992年の205万人から2014年には102万人に半減。40年には80万人に減る見通し。国の財政難のため、国立大学の経常収益に占める運営費交付金収益の比率も11年度の38%から16年度には34%に低下。国立大学は自主財源の確保が必要であり、東大といえども例外ではない。

  大学の不動産活用は早くから早稲田など私学で活発だったが、政府は国立大の資産活用も後押し始めた。昨年4月の国立大学法人法改正で、土地貸し付けについて学生寮など大学業務目的に限られていた規制を外し、国の認可次第で用途に限らず行えるようになった。文部科学省の担当者はその狙いについて、交付金など公的資金以外にも財源を多元化し、大学に自立的運営を図ってもらうことだと説明する。

  東大と提携した三菱地所は、不動産活用でコンセプトの設定やアイデアを提案。同社広報部の木寺恵理氏は「全国の好立地に魅力のある土地を多く保有しているので、東大ブランドを活かしつつ連携していきたい」と話す。東大の国内保有地面積は3億平方メートル以上と東京都の14%もあり、30年度からの3年間で100億円の自主財源確保に向け、渡邉課長は「決まったわけではないが、不動産活用で半分以上を集められればいい」と言う。

ソフィアタワー

  東大の西千葉キャンパス跡地開発をめぐっては、不動産会社などが対象の調査では、住宅地や商業地として高い評価が集まった。都市未来総合研究所の常務執行役員の平山重雄氏は「駅に近い好立地で、マンション、住宅系の用途からすると非常に価値がある」と指摘する。

  開発用不動産としての価値が高いのは地方の遊休地よりも、収益性の高い都内の保有地だが、全体の1割程度しかなく、キャンパスなどでほとんど埋まっているのが実情。そこで東大の渡邉課長が「モデルケース」として注目しているのが、上智大学のソフィアタワーだ。

上智大学のキャンパス、左側の建物がソフィアタワー

Source: Sophia University

  上智大は昨年、キャンパス内に地上17階建ての高層ビルが完成。2-6階は大学が教室や研究室などに利用し、7-16階部分にあおぞら銀行本社オフィスが入居するなど、大学とテナント企業が狭いキャンパスの一角を使って併存している。同大の資料によるとソフィアタワーの17年度のあおぞら銀行からの年間賃料収入は約15億円。学校法人上智学院の大日方清剛・財務局長は「学生への支援、設備回収などで収支のバランスを取る財源の一部として不動産賃貸を行っている」と説明する。

金融機関も注視

  大学の土地利用には金融機関も参入。日本政策投資銀行は北海道大学と資産の有効活用で協力を進めている。みずほ銀行は学生寮の整備に向けてファンドの組成を計画。学生寮を建設し、大学に貸し出す仕組みで、すでに国立・私立大学合わせて約70校に提案した。

  会計検査院によると、東大や北海道、大阪など15国立大法人が保有する土地・建物の価値は簿価で見ても計3兆1000億円を超える。「少子高齢化が進む中で、立地の良い場所に保有地がある大学はこうした活用が続くだろう」と、都市未来研の平山氏はみている。

(第2段落に三井不動産などの発表を追加、見出しも更新しました.)
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