【日本株週間展望】一進一退、米中摩擦不安拭えずー安川電決算を注視

  • トランプ米大統領、2週間以内に160億ドル追加関税の可能性示唆
  • 米景気堅調と漸進的な利上げ期待は支え、新興国不安を和らげる一助

7月2週(9ー13日)の日本株は一進一退となりそうだ。米国が対中国の追加関税を正式発動し、目先の悪材料出尽くしと受け止める向きもあるが、両国摩擦が深刻化することへの不安は依然拭えない。国内では、ロボット関連の安川電機の決算が米中問題への企業心理を測る試金石になる。

  米トランプ政権は6日(日本時間7日)、中国からの輸入品340億ドル(約3兆7600億円)に対する追加関税を発動し、中国商務省は報復せざるを得ないと即座に表明。また、トランプ大統領は別の160億ドル相当の中国製品への関税を2週間内に発動する可能性があり、最終的に5500億ドル相当の中国製品が対象になり得ることを示唆するなど、両国間に歩み寄りの兆しは見えないままだ。

米中首脳と国旗

Photographer: Qilai Shen/Bloomberg

  一方、米供給管理協会(ISM)の製造業景況指数は2カ月連続で上昇するなど対外的な通商摩擦を抱えた中でも米国の経済統計は堅調で、マクロ景気対する安心感は引き続き株価の下支え要因となっている。米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録によると、メンバーらは2019年か20年まで利上げを漸進的に続けるのが適切とみており、「貿易問題もあり、今後は米利上げペースが緩やかになるとの見方が増えてくる。新興国の通貨安や景気不安といった懸念を和らげ、株式には好材料」と大和住銀投信投資顧問・経済調査部の門司総一郎部長は言う。

  国内では、米中摩擦が日本企業の業績に及ぼす影響を探る上で、12日の安川電の3ー5月期(第1四半期)決算に注目する向きが多い。米国が関税賦課の対象に工業品を選定し、中国での設備投資減退のリスクが意識されているためだ。三井住友トラスト・アセットマネジメントの小田誠志リサーチ運用部長は、中国は既に景気が減速しているほか、貿易摩擦の悪影響も懸念せざるを得ず、「会社から中国での受注減などの言及が出てくる可能性があり、その場合は株価の下押し要因」と予想した。第1週の日経平均株価は週間で2.3%安の2万1788円14銭と3週続落した。

<市場関係者の見方>
ピクテ投信投資顧問の松元浩常務
  「米中追加関税発動は既定路線とはいえ、多くの市場関係者が警戒していた方向に進んでいる。イベント通過でショートカバーから日経平均が2万2000円近くまで短期的に戻っても、悪材料が出尽くす状況にはなく、再度売られる展開になろう。最近は取引終了にかけ勢いがなくなることが続き、それだけポジションを落としたい投資家が多い。米中に何らかの歩み寄りのサインが出るかどうか、もはや経済指標を見るような段階ではない。原油価格の動向も気掛かりだ。イランが原油価格を米国との交渉材料になると考えているなら、非産油国経済にマイナスに働く」

大和住銀投信投資顧問・経済調査部の門司総一郎部長
  「これまでの株安で米国の対中追加関税措置の発動を織り込んだ可能性が高く、懸念されていたイベント通過による株価リバウンドを見込む。米国が中国に対しさらに関税規模を拡大すると、企業のみならず国民への負担も増すだけに、トランプ大統領も追加制裁に踏み込むには慎重となろう。現在の日本株のバリュエーションは明らかに割安で、米国の通商政策が過度に保護主義化するとの懸念が和らぐことでPERが拡大し、株価が押し上げられる。一方、企業が月末以降に発表する決算には注意が必要だ。米中の貿易摩擦の問題が拡大するリスクが消えず、会社の業績見通しやコメントが慎重になり、株価の重しとなる恐れがある」

三井住友トラスト・アセットマネジメントの小田誠志リサーチ運用部長
  「米中通商摩擦が世界経済を停滞させるとの懸念から投資家心理が冷え込む中、景気敏感の自動車や機械など輸出セクター中心に売りが続く。貿易問題がどう決着するか見通せず、これからも関税報復の連鎖が続くとの警戒は怠れない。今期経常利益は会社計画の2%増程度に対しコンセンサスは7ー8%増とギャップがあり、月末から本格化する4ー6月期決算で業績の厳しさが出れば、割安とされるバリュエーションが正当化されず、株安につながる。また、6月後半は日本銀行のETF買いが下げ渋りにつながったが、7月は4日を除き買いが見送られ、株安が進んだ。投資家の多くが様子見姿勢を強める中、日銀が無理に買い支えた反動が出やすい」

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