Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

米国の対中関税発動を為替市場静観、次の一手見極めでドル・円反応薄

  • 米中が340億ドル分関税をかけ合うまでは織り込み済みーソニーFH
  • 米政府による対中国追加関税発動後のドル・円の値幅は19銭
Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

米国政府による中国からの輸入品に対する追加関税の発動後、ドル・円相場は1ドル=110円台後半で小動きに推移している。中国による報復関税方針も大方の想定通りに示されたものの、市場関係者は米中貿易戦争の今後の展開や相場への影響度を見極めかねている。

  ワシントン時間6日午前0時1分(日本時間午後1時1分)、米政府は中国からの輸入製品340億ドル(約3兆7600億円)に対して追加関税を発動した。これに対し、中国の商務省報道官は米関税に報復せざるを得ないと表明した。

  米中のこうした動きが伝わった後、ドル・円相場は110円60銭から110円79銭程度と小幅な値動きにとどまっている。ただ、トランプ大統領は別の160億ドル相当の中国製品への関税を2週間内に発動する可能性や、最終的に5500億ドル相当が対象になり得ると示唆。市場では米中貿易摩擦の激化は金融政策の正常化を進める米連邦準備制度理事会(FRB)の運営にも影響を及ぼすとの見方もあり、米政権が対中関税を巡り打ち出す次の一手に注目が集まっている。

市場関係者の見方は以下の通り。

◎ソニーフィナンシャルホールディングスの石川久美子為替アナリスト:
「米中が340億ドル分関税をかけ合うまでは織り込み済み、準備できていたのでドルを売ってくる動きはない。今後は残る160億ドルや追加2000億ドルがどうなるか次の一手待ち。トランプ大統領の言動と他国との関係がどうなるか」

「米金融政策は今年4回利上げだが、その先どうなるかがテーマ。米利上げ終了時期も、20年から19年中になれば影響あるかもしれないが、まだ距離感ある。選挙が終われば、トランプ大統領の支持率引き上げ目当ての攻撃的な態度は弱まる。そのころには通商問題も片付いているのではないか」

◎大和証券の亀岡裕次チーフ為替アナリスト:
「米中の貿易摩擦は、米国の金融政策に影響が出る可能性がある。世界経済に悪影響が出始めており、米国経済にも影響が及んでいくと思う。FRBの利上げを抑制していく要因になるだろう。今年の利上げはともかく、来年には利上げペースを鈍化させていく可能性があると思う」

「来週の予想レンジは109円00銭ー111円00銭程度。米関税発動を受けて110円00銭近辺に近づき同水準を中心にした展開を想定。上値は、欧州と米国の自動車関税引き下げが材料になりそう」

◎外為どっとコム総研の神田卓也調査部長:
「短期的には発動はほぼ完全に織り込んでいる。中国の報復までも相場的には織り込んでいる。それ以上の何かがあるかどうかが重要。米国はこの後も2000億ドル規模の中国製品に関税を賦課するという話もあれば、さらに昨日は5500億ドルという数字も出ており、エスカレートの要素はまだまだ多分に含んでいるため、警戒感はくすぶると思う」

「きょうは、ドル・円はそこまで下値リスクはないと思う。111円前後での動きが中心にみている。結局、今後の貿易問題がどうなるかということになる。FRBは中立金利を超えてでも引き締めに動く構えも見せているため、いずれ相場がそこに目が向くこともある」

◎三菱UFJ銀行グローバルマーケットリサーチの内田稔チーフアナリスト:
「対中関税は最終的には5500億ドルとの報道もあり、着地点が見えず、重いテーマとして続いていく。市場は単なる中間選挙対策ではなく、米中間の覇権を巡って中国をたたきに行くというテーマを意識し始めており、そこまで広がるものか見極めの時間帯に」

「関税発動は始まりでしかなく、日本はまさにここから矛先が向いてくる可能性。円は割安とのIMFの評価が効いているとすると、7月下旬からの日米通商協議で円が話に上がる危険性は決して低くない。ドル・円は引き続き年内に105円割れの可能性がある」

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