W杯ロシア大会ボイコットのメイ首相、イングランド躍進が頭痛の種に

  • 元ロシア人スパイ毒殺未遂事件受けて英政府はW杯ボイコットの方針
  • イングランドが準決勝まで進めばロシアと対戦も、運命のいたずらか

メイ英首相にとって、サッカー・ワールドカップ(W杯)ロシア大会でのイングランド代表の予想外の躍進は、政治的に自分で自分の首を絞めるオウンゴールと化している。

  英首相は通常なら、スポーツ競技での異例の成功の栄光に浸るチャンスに飛びついただろうが、メイ首相の場合はサッカーに興味がないという問題に加え、英南西部ソールズベリーでの元ロシア人スパイの毒殺未遂事件を受けW杯のボイコットを決めたことで自らの手を縛ってしまった状態にある。

  メイ首相は3月14日に議員らに対し、元スパイのセルゲイ・スクリパリ氏と娘がソールズベリーで毒殺されかけた事件に対する報復措置を説明した際、「閣僚や英国王室メンバーが今夏のW杯ロシア大会に出席することはない」と言明。首相府は4日、その方針を堅持すると説明した。

メイ英首相(7月4日)

フォトグラファー:Tolga Akmen / AFP via Getty Images

  イングランドチームは準々決勝進出を決めた中、メイ首相への風当たりは強まっている。特に残酷な運命のいたずらと言えるのは、イングランドが勝ち進めば7月11日の準決勝戦ではロシアと対戦する可能性もある点だ。メイ首相にとって、来週は既に問題が山積している。北大西洋条約機構(NATO)首脳会議ではトランプ米大統領を迎えぎくしゃくすることが見込まれる上、英国の欧州連合(EU)離脱問題という長期的な頭痛の種も抱えている。

  イングランド対ロシアの試合が実現してイングランドが勝ち、ロシアのプーチン大統領がイングランド代表に公に祝意を表明せざるを得なくなる状況を想像してみよう。英紙ガーディアンによると、ロシアはあらためてメイ首相をW杯に招待したという。出席すれば、スクリパリ氏を神経剤で殺害する命令の背後にいると英国が考えるプーチン大統領に正当性を与えることになると閣僚らは主張する。

イングランド代表の勝利を競技場で祝うファンたち(7月3日)

フォトグラファー:Juan Mabromata / AFP via Getty Images

  W杯を巡る英国の迷いは、サッカーファンがロシアに観戦に行く気持ちを妨げることにつながっている。3日のコロンビア戦ではイングランド代表チームは史上初めて
PK戦で勝利したが、応援するファンの数では対戦チームが圧倒的に優位だった。

原題:May Pays Penalty as England World Cup Glory Turns Into Headache(抜粋)

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