大陽日酸:欧州の産業ガス事業を6400億円で買収-米社から

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  • 欧州市場に参入、シェア16%を獲得-取得額は自社の時価総額並み
  • 独企業との合併目指す米プラクスエアが独禁法にらみ事業を売却

三菱ケミカルホールディングス子会社で産業ガスの製造・販売などを手掛ける大陽日酸は5日、同業の米プラクスエアから欧州事業を50億ユーロ(約6438億円)で買収することで合意したと発表した。プラクスエアは独企業との経営統合をにらみ、事業の一部売却に踏み切る。

  発表資料によると、取得対象はプラクスエアの欧州での産業ガス、炭酸ガス、ヘリウムに関する事業で、関連会社の株式を買い取る。取得時期は11月の予定。大陽日酸にとっては過去最大の買収案件となる。

  大陽日酸は今回の買収で欧州市場に参入。同社推定で欧州の産業ガス市場で16%のシェアを獲得する。米国やアジアに続きグローバル化を進めるほか収益性向上や人材獲得につなげる狙い。一方、独リンデとの合併を決めているプラクスエアにとって同事業の売却は、欧州での独禁法違反の懸念緩和に寄与する見通しだ。

  買収額は大陽日酸の時価総額(5日終値で約6470億円)に匹敵する規模。財務アドバイザー(FA)はみずほ証券が務めた。買収資金は当初、手元資金やブリッジローンで賄い、金融機関からの借り入れや社債発行により借り換える予定。新株発行を伴う資金調達は予定していない。

「攻めの計画」との評価

  買収対象事業の2017年12月期の売上高は12億7370万ユーロ(約1650億円)、EBITDA(利払い・税金・減価償却・償却控除前利益)は4億ユーロ(同520億円)。

  SBI証券の雨宮京子シニア・マーケットアドバイザーは、内部留保をため込む企業に厳しい目が向けられる中、「大陽日酸の時価総額にほぼ匹敵する大型買収は、手薄な欧州地域での事業展開の足がかりとなる攻めの計画だ」と評価。ただ、中身については細かく検討する必要があるとしている。

  大陽日酸では今期(2019年3月期)の業績への影響について、買収手続き完了後に精査のうえ、あらためて公表するとしている。買収に伴い現行の中期計画も見直す予定。

  大陽日酸の株価は6月11日に年初来高値を付けたものの、プラクスエアの事業取得の可能性が報じられて以降は下落傾向を続け、5日終値は1494円と高値から18%安くなっていた。

(一部内容を追加します.)
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